新築そっくりな「再生型マンション」が、近頃増えている事情

 

日経新聞(2014年1月29日付け)の記事によると、「長谷工コーポレーションは、既存の社宅や賃貸マンションを買い取って改修し、割安な「新築並み住戸」として分譲する。立地等が同条件の新築よりも価格は2~3割安く抑える。2014年度に400戸、15年度に500戸の販売をめざす」とのことです。

中古マンションの個々の部屋レベルなら、不動産業者が買い取った後、リフォームして転売して利ザヤを稼ぐという手法はバブル時代からありました。

最近の傾向は、賃貸マンションや企業社宅等の一棟全体を取得し、それを「リノベーション」という名のもと改修工事を施し、あらためて分譲マンションとして販売するというものです。

このような新しいジャンルの商品が生まれてきた背景としては、いくつかの事情が考えられます。

 

(1)不動産オーナーの事情

いまや「土地神話」という言葉さえ死語と化してしまった感がありますが、かつて地価が右肩上がりで上昇していた時代は完全に終焉を迎え、バブル崩壊後はほぼ一貫して下がり続けています。賃料も将来的に上がる可能性は薄い中、キャピタルゲインも期待できないため、不動産を所有することのメリットが薄れてきているのは間違いありません。

一方、経済成長も長らく停滞する中、企業経営も次第に余裕がなくなってきました。その結果、福利厚生施設の代表的存在であった独身寮や家族社宅等が軒並み処分されていくのも、致し方ないところでしょう。

賃貸マンションのオーナーや、企業が所有する物件を手放す理由がここにあります。

 

(2)デベロッパーの論理

不動産取引の場合、土地が最も高く売れる状態とは間違いなく「更地」です。中古の建物が付いていると、買い手の自由度が少なくなるうえ、解体する費用も必要なので、むしろ割安に買うことができます。

しかも、既存の建物を改修するなら、さらに有利です。新たに新築マンションを企画・設計して建てるよりも全体の投資が少なく済むからです。

 

(3)買い手の心理と経済状況

再生型マンションは、部屋の内装だけでなく、老朽化あるいは陳腐化した共用部分もリノベーションを施しているため、全体が「新築そっくり」に生まれ変わります。

そのため、中古の相場よりも高いものの、新築物件に比べれば「割安」と感じられる価格設定です。超低金利時代とはいえ、世帯平均収入が伸びない中、「買い求めやすい価格」はより重要になっています。

大手デベロッパー3社だけでも、再生型マンションの供給は、数年後に年間2000戸に達するとの見方もあります。

再生型マンションが、新築・中古に続く「第三の選択肢」に育つ可能性もありますね

[Photo by daizi_ikeda

 


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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