マンションの価値を決める「ものさし」ってあるんですか?

 

耐震偽装事件以降、自分のマンションの耐震性について気にする方が多くなりました。マンションは一生の内に何度も買い換えるものではありませんので慎重になるのも当然です。

そこでよく相談されるのが、「マンションの価値を決める『ものさし』って、あるんですか?」という点。

中古物件であれば、特に企業間で売買するときに建物を査定するデューデリジェンスというものがあります。しかし、これは一般の方が耳にすることはまずありません。

個人の方が新築のマンションを安全に購入するための一つの方法が「住宅性能表示制度」の評価書を見ることです。

今回は、特によく質問されるQ&Aを紹介します。

Q. 「住宅性能表示制度」って、そもそも何ですか?

A. 「住宅性能表示制度」とは、2000年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づき、住宅の性能を「構造耐力」「省エネルギー性」「遮音性」などの10分野で評価したものです。

この評価書を見ることによって、これから購入するマンションの品質を知ることができます。すべてのマンションが「住宅性能表示制度」を利用しているわけではありませんので、その評価を受けていること自体が購入の判断材料の一つになると思います

例えば「構造耐力」の評価が高いと、地震保険や銀行の融資の金利が有利になることもあります。

 

Q. この評価書があると、どうして有利になるのですか?

A. 評価書の作成にあたっては、建設工事中に第三者の専門家によるチェックが入るうえ建物の完成後には見ることができない部分も調査の対象になります。将来住み替えをする際にも、この評価書があれば新たな買主にアピールできるでしょう。

ちなみに、米国にはインスペクション制度がありますが、「性能表示制度」はそれに準じた制度といえます。民間の審査機関の性能表示評価員という有資格者によって目視や計測の方法で検査されます。建設中に建物の階数に応じて4回以上の検査があり、構造・設備・仕上げについてしっかりチェックされるので安心です。

 

Q. 「性能表示制度」は本当に効果的ですか

A. 耐震偽装問題が取り沙汰された後も、相次いでマンションの建設中に工事ミスが発覚されたニュースが報道されましたが、その多くはこの建設評価の検査で見つかっています。建設途中であれば、工事をやり直したり、場合によっては建て替えも行うことができます。

 

欠陥マンションをつかまされることのないよう、マンション購入の際は「性能表示制度」評価を受けているかどうかをぜひご確認ください。

 


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江原幸壱
木の建築設計代表、一級建築士、マンションリフォームマネージャー、住宅 能評価員。国産材・伝統的木組み・シックハウス対策・「本当に住みたい木の家」をコンセプトに建築・住宅の設計・コンサルタントに従事する。『建築ジャーナル』誌コラム「建築と政治」を5年間連載。『新・木のデザイン図鑑』『新・和風のデザイン図鑑』『木のデザイン最強マニュアル』等執筆。伝統構法の無形文化遺産登録、建築基本法制定に取り組む。

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