マンション選びの条件に「全体規模」も加えよう

 

これからマンションの購入を検討しようとする場合に、何を条件に考えますか?

大まかなロケーション、部屋のサイズ、購入予算、通勤や通学等の利便性(立地条件)はもちろん考慮すると思いますが、候補となるマンションの規模についてはあまり考えないのではありませんか?

でも、一口にマンションと言っても、1千戸単位のマンモスサイズもあれば、10~20戸程度のコーポラティブ・ハウスまで、その規模は千差万別です。

特に大規模マンションは、その街のランドマークになることも多く、販売時に人気を博すことも多いようです。

でも、念願の物件にいざ入居してみると、大きいからこそのメリットが一転してデメリットに感じることもあるので注意が必要です。

 

(1) 共用施設が充実

最近では、共用部分に居住者やその関係者限定で安価に利用できるゲストルームやラウンジ、保育所やスポーツジム、あるいはスパなどを装備しているマンションも増えてきました。中には、観賞用の水槽や噴水施設まで装備している物件もありますね。

しかし、これらを運営していくには必ずコストがかかります。水光熱費等はもちろんですが、最も大きいのはそこに「人」が介在するということ。

管理人やコンシェルジュ、清掃員などの人件費の負担が毎月支払う管理費に大きくのしかかってくることを頭に入れておく必要があります。

また、これらの施設が将来陳腐化・老朽化してくれば、修繕やリニューアルのための費用も別途必要になります。

これらの費用は、管理費とは別に徴収される修繕積立金で賄うことになりますが、購入時の金額は故意に低く設定されていますので、長期修繕計画で将来どの程度増額される見通しになっているのか確認しておいた方がいいでしょう。

 

(2) 住戸タイプが多彩

そのスケールメリットを利用して、1LDKから4LDKまでの豊富な住戸バリエーションをアピールする物件も多いですね。

でも、入居して管理組合を運営する立場になると、それも良しあしです。

というのも、住戸タイプや販売価格が多彩になるほど、入居者の家族構成、所得水準、ライフスタイルも大きく異なってくるからです。

そうなると管理組合としてさまざまなルールを定めたり、決め事をしなくてはならないときに、役員同士の意見のすれ違いが生まれやすく、まとめづらいことがあります。

また、大規模マンションになると顔見知りになれる人がごく一部に限られ、居住者の匿名性が増すため、組合活動や役員の就任に非協力的になりがちという傾向も見られます。

 

(3) 住民コミュニティの形成 

300戸以上のマンモス・マンションになると、ひと声で1,000人の住民がコミュニティを形成することになります。

そうなると既存の町会などとは別に、マンション内で完結する自治会組織を作るケースが多いです。

管理組合の活動に加えて、防災・防犯のためのルール作りから、住民同士の交流を促すイベントの開催などの企画・運営を任されるなんてことも十分ありえます。

このように、入居後のマンション全体の運営の観点から考えると、

● 住戸数は、50戸から100戸程度まで
● 各住戸タイプのサイズに、あまり大きな差がないこと
● 階数は10階前後以下

 

以上3つがマンションの規模としてお薦めできる条件だと思います。

 


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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