マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
月6日付けの日本経済新聞に、『マンション「空き家」深刻 管理組合なく修繕もできず』という記事が掲載されていました。
本記事の要約は以下の通りです。
■ マンション管理組合が機能せず、基礎的な修繕もできない物件が水面下で増えている。 埼玉県のマンションでは、建物の外壁が剥落し、鉄骨がむき出しになる危険な状態が既に半年以上続いている。住民は生活しているものの管理組合がないため、修繕について話し合うこともできない。
■ 組合がなければ、危険な損壊が放置されたり、管理不全の隙を突いた侵入者による犯罪の温床になったりするリスクがある。住民だけでなく周辺地域にも悪影響が出る。
■ 東京都の調査では、6.5%の物件が「管理組合がない」と回答。未回答の物件を追加で抽出したら、「ない」と答えた割合は15.9%にも上った。管理組合が機能しないマンションは「あと数年で珍しくなくなる」という見方もある。
■ 東京都が管理状況の届け出を義務化する条例案を議会に提出するなど、各自治体も対策に乗り出した。だが、マンションの空き家の拡大が背景にあるため、解決は容易ではない。
■ 総務省によると全国の空き家は2013年時点で約820万戸あり、そのうち半数超が分譲マンションを含む共同住宅とされている。
■ 空き家が増えたマンションは管理組合の理事を担う人手も、管理費や修繕積立金も減っていく。自治体の対策を講じても、空き家が増えて所有者さえいないのでは実効性が乏しくなる。
■ 国土交通省によると、約20年後(2037年末)には築40年超の物件が今の約5倍(352万戸)にまで増加することが見込まれる。
■ マンション空き家に歯止めはかけられるのか。所有者の死後に空き家になる可能性が高い部屋を、自治体や管理組合へスムーズに寄付できる仕組みづくりというアイデアもある。「マンション管理は所有者の責任」という従来の常識にとらわれない発想が求められる。
本記事は、全国的な空き家の増加の影響が老朽化マンションにもすでに及んでおり、マンションの「管理不全」に拍車をかけていくことを危惧しています。
マンションの管理不全が進行すれば、それがゴミ放置問題や放火などの犯罪の温床となり、周辺地域・住民への悪影響も予想されるからです。
人口減少社会にすでに突入している中、近い将来「空き家問題」に直面するのは、地方の戸建住宅だけでなく、都市部のマンションも含まれるのは確実でしょう。
その背景には、
不動産価格の下落に伴う「相続放棄」や「所有者不明」物件の増加があります。
以前、このブログでも取り上げましたが、
今後は分譲マンションでも相続放棄や所有者不明による管理費滞納問題が増え、管理組合が抱える深刻な問題の一つにまで発展するものと予想しています。
<参考記事>
老朽化で大きく資産価値が下がったうえに、すでに管理費の滞納もあるマンションだとわざわざ管理費や修繕積立金を負担してまで受け継ぐ魅力に乏しいため、相続を放棄される恐れが高くなります。
相続放棄される部屋が出てくると、管理組合にとってたいへん厄介なことになります。
その部屋に管理費等の滞納が発生していても、管理組合が強制競売等で勝手にその部屋を処分して債権を回収するわけにはいかないからです。
その際には、家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任を申請し、適法に資産を処分してもらうための手続をとる必要が出てきます。
それには、相続人がいない(あるいは相続放棄の)事実を立証するために亡くなった区分所有者の戸籍謄本等を収集する必要があります。
もちろん、そんなことはとても自力ではできないので、弁護士を起用するなどで管理組合としては別途費用の負担が必要になってきます。
一方、「所有者不明問題」も全国的に深刻なリスクになりつつあります。
そもそも、現行法制度においては、所有権の移転登記が「義務」化されていません。
相続に伴って所有者が変更していても、登記手続きも管理組合への届出もなされなかった場合、「所有者不明」で管理費等を請求することができなくなります。
そのため、こうしたリスクへの対応として、
管理組合としては日常的に以下の2点に留意されることをお勧めします。
(1)区分所有者名簿の定期的更新を行う
緊急連絡先も含めた定期的メンテナンスが必要です。
また、区分所有者本人の年齢や家族構成も把握しておきたいです。
(2)滞納が生じた場合は早期に状況把握を行う
滞納が2ヶ月以上になった段階で本人の居住状況や滞納理由を早めに把握します。
そして、何よりも大事なことは、
計画的な修繕を実施しながら、ご自分のマンションの資産価値を長く維持できるよう健全な組合運営を行っていくことでしょう。
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