24年ぶりの大幅改正!「区分所有法」はどう変わる?

5月23日付けのNHKニュースで、「マンション管理や再生 円滑化へ 改正区分所有法など成立」と題した記事が掲載されていました。

 

<参考記事>

www3.nhk.or.jp本記事の要約は以下のとおりです。

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◾️ 老朽化したマンションが増え続ける中、建物の管理や再生を円滑に進めるため、管理組合での決議要件の見直しなどを盛り込んだ改正区分所有法などが23日の参議院の本会議で可決・成立しました。 施行は一部を除いて2026年4月です。

◾️ 老朽化したマンションが増加する一方で、「建て替え」などが十分に進んでいないことを踏まえ、管理組合が建物の「取り壊し」や「売却」、「リノベーション」を行う際の決議について、これまでの決議要件である「全員の同意」を緩和し、「5分の4の賛成」でも可能とします

◾️ また、所在不明の区分所有者については、裁判所が認めれば決議の母数から外せるようになります。なお、この緩和は、「建て替え」も対象となります。

◾️ さらに、いずれのケースでも耐震基準に適合しないなどの耐震性の不足や、外壁がはがれ落ちるなどの周囲への危険性がある場合は、「4分の3の賛成」に緩和されます。

◾️ また、建物の管理に無関心な住民の存在が課題となっていることを踏まえ、「修繕」や「管理規約の変更」などの決議については、すべての所有者ではなく、集会の出席者を母数とする多数決で行えるように緩和します。

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改正法は、下記のとおり大きく3つのパートで構成されています。

1)マンションの管理の円滑化

2) マンションの再生の円滑化

3) 団地の管理・再生の円滑化

 

一般的な管理組合にとって、今回の法改正の影響が大きいと思われるのは、

1)の「マンションの管理の円滑化」を図るための措置です。

この中には「集会決議の円滑化対策」が含まれており、

総会の決議要件が見直され、大きく改正されます。

 

最大のポイントは、

総会に出席せず、かつ委任状も議決権行使書も提出しない

「無関心な区分所有者」に対する取扱いです。

 

無関心な区分所有者は、総会の「特別決議事項」(規約改正、共用部の変更、建替え等)においては「反対」と同様に扱われます

 

無関心な区分所有者が一定数存在するマンションでは、全体の4分の3以上の決議要件を満たすことができず、管理組合の適正な運営が阻害されるおそれが生じています。

 

そのため、今回の改正法では、所在等不明者を含め、総会議案に対して一切意思を示さない区分所有者をあらかじめ除外し、出席した区分所有者及びその議決権の多数決による決議を可能とする仕組みを下記の通り設けることになりました。

 

 

1)   総会決議の母数から所在等不明者を除外

区分所有者を知ることができないか、その所在を知ることができない状況が生じた場合、その議決権を当該組合総会におけるあらゆる決議から除外できるよう裁判所に請求できるようになります。

 

2)「出席者多数決方式」の導入

建替えや敷地売却等の区分所有権の処分を伴う決議を除いて「みなし出席区分所有者」(議場出席者のほか、委任状あるいは議決権行使書の提出者を含む)の人数及びその議決権の多数決で決議することができるようになります。

 

ただし、総会の開催要件に「定足数」の規律があり、少なくとも区分所有者の頭数と議決権の双方の過半数を満たす必要はあるので、ご注意ください。

 

区分所有権の処分を伴わないケースで、かつ特別決議を要する下記の事項は、以下のとおりです。
◾️ 共用部分の変更
◾️ 建物の一部が滅失したときの復旧
◾️ 規約の設定、変更又は廃止
◾️ 義務違反者に対する使用禁止の請求、区分所有権等の競売請求
◾️ 管理組合法人による区分所有権の取得

 

その他にも改正点はたくさんあります。

詳しく知りたい方は、下記の記事で解説していますので、ご一読ください。

<参考記事>

 

aplug.ykkap.co.jp

 

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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