マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
東日本大震災後以前と比較するとおよそ3割上昇したと言われる電気料金。消費税増税とともに、管理組合の収支状況を悪化させる大きな要因となっています。
そのため、この対策へのニーズが高まっていますが、共用部の電気料金を下げる方法としては、次の3つのアプローチに分類できます。
これら3つのアプローチについて、具体的なメニューと料金が下がる仕組みをご紹介しましょう。
これは言い換えれば「省エネ」対策です。不要な部位の照明の本数を間引く、あるいは点灯時間を短縮することもこれに含まれますが、もっとも代表的なのはLED照明への切り替えでしょう。
特にダウンライトに使われるハロゲンランプや、外構部に使われるハイビームランプなどの場合は消費電力が90%減にもなりますので、初期費用が1年以内に回収できるほどです。
以前は、LED照明の色味が白っぽいのが嫌われる要因になっていましたが、今では電球色・昼光色の照明も普及しており、ほとんど違いが分からなくなりました。
照明器具の交換を伴わずに照明をLEDに切り替えることも可能なので、電気料金削減だけで平均して概ね4~5年以内に初期費用を回収できるでしょう。
一方で、平均寿命は4~5万時間(当初の照度比で30%減を寿命とした場合)と大幅に伸びるので、半日点灯なら約10年はもちます。そのため電気料金の削減だけでなく、管球交換費用も大きく節約できます。
この代表例は、高圧一括受電です。マンションの場合、専有部だけでなく共用部分も電力会社が所有する受変電設備を通じて低圧に変えて受電していることが一般的です。
しかし、自ら管理組合が受変電設備を所有して高圧で受電すれば、低圧の価格より約3割電気料金単価を下げることができます。
ただし、受変電設備を自ら所有する場合、既存の電力会社の設備を撤去し、あらたな設備を購入する必要があります。(その際、管理組合に代わって受変電設備を提供するのが「一括受電サービス会社」で、管理組合と高圧受電のメリットをシェアする提案をしています。)
現在の料金体系が変わらない限り初期投資は6~8年程度で回収が可能な一方、受変電設備の耐用年数は25~30年とされているので、投資回収後にキャッシュ(電気料金の差額から保守点検費、出納請求費を差し引いたもの)が蓄積していくことになります。
ただ、電気使用量自体は、そのマンションの専有部の利用形態や居住人数、毎年の天候事情等によって変わりますから、管理組合はそれによる変動リスクを負うことになります。
なお、高圧受電が検討可能なマンションは、ファミリータイプで50~60戸以上の規模が必要です。100戸以上の規模があればなお有利でしょう。
この代表的な手法は、電子ブレーカーの導入です。
通常の受電契約の場合、共用部の設備のモーター容量の合計(KW)を契約容量とするので、その稼働状況や使用電力に関係なく最大電力値での契約(負荷設備契約)となってしまい、マンションの場合には基本料金自体が割高となる傾向があります。
これを実際の設備稼働時にブレーカーに流れる電流をもとに使用電力を決定し、ピーク時の電力は使わないという契約に変更することができます。(主開閉器契約)
この主開閉器契約に変更するには、電子ブレーカーを設置し、電流値と時間の両方を計測できるようにする必要があります。
実際に設備が稼働する際の電流値と時間を電子ブレーカーで測定し、その最大電流値のレベルまで契約電力量を減らすことができるので、基本料金も下がるというわけです。
この場合、使用量に関係なく確実に基本料金が下がるので、電力会社の料金体系が変わらない限り、確実に初期費用を回収することができます。
電子ブレーカーの相場価格は30~40万円で、耐用年数は15年程度。特にメンテナンスは必要ありません。エレベータや機械式駐車場があるなど動力設備の豊富なマンションほど削減余地が大きいです。
なお、電子ブレーカーは、低圧で受電しているマンションが前提条件になります。
いかがでしょうか? それぞれのマンションの規模や特性に合ったメニューを組み合わせてその費用対効果を検討されることをお奨めします。
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