なんで懲りないの?ここがヘンだよ!マンション管理業界

12月28日付の中日新聞に、「大京アステージ元社員が複数マンションで管理組合費横領」と題した残念な記事が掲載されていました。

 

www.chunichi.co.jp

本記事を要約すると、以下の通りです。

■ 「大京アステージ」の元社員が、中部地方の複数のマンション管理組合の管理費を不正に引き出し、横領していた。

■   国土交通省中部地方整備局はマンション管理適正化推進法に基づき、同社に来年1月18日から60日間の業務停止命令を出した。(処分は12月26日付)

■ 横領していたのは名古屋支店管内で勤務していた元社員(今年3月に懲戒解雇)。担当していた管理組合の「保管口座」から現金を引き出して横領し、口座の印鑑も不正に保管していた。

■ 各管理組合への弁償は同社が既に済ませ、元社員は横領した全額を同社に返還した。同社は被害の件数や金額を明らかにしていない。刑事告訴を検討している管理組合もある。

■ マンション管理の新規顧客獲得や営業活動が禁止される。現在、同社が4県で担当している600のマンション管理組合の管理は業務停止期間中も継続する。同社は全国に事業所を展開し、ホームページによると9月末時点で7600組合、42万8千戸の管理を請け負っている。

 

組合財産の金銭着服という残念な犯罪を惹起した最大の原因は、

管理組合名義の「保管口座」に係る印鑑を保管していたことにあります。

 

これって、立派な法律違反(マンション管理適正化法 第76条)なのです。

 

管理組合の財産を管理するのは、マンション管理会社の事務管理業務の一部に該当しますが、とても重要な業務です。

 

管理組合が保有する銀行口座として、

収納口座と保管口座の2種類が設定されるのが一般的です。

 

「収納口座」は、管理会社が組合の出納業務を行う上で日常的に関与する頻度が高いため、管理会社が印鑑等を管理することも可能です。(その代わり、別途保証契約を別途締結します)

 

一方、「保管口座」は、主として管理費会計の剰余金や修繕積立金残高の管理を行うためのものです。

 

計画的な修繕工事以外の目的では支出されることは少なく、残高も多額となるため、口座名義人を必ず管理組合とするだけでなく、その印鑑等の管理も管理組合が行うことが義務付けられています。

 

つまり、管理会社が保管口座の印鑑を預かること自体がNGなのです。

 

現行法においては管理委託契約の自動更新はできないため、契約更新のたびに管理会社が組合員を対象に「重要事項説明」を実施します。

 

その際に、管理組合財産の管理方法についても下記の通り説明しなくてはなりません。

 

<重要事項説明書の一部抜粋>

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上の表に記載されている「預貯金通帳・印鑑等の保管者」の項目を見ると、収納口座・保管口座のいずれも管理組合がその印鑑を保管することが示されています。

 

少なくとも保管口座は、必ず管理組合が保管しなくてはならないため、今回被害に遭った管理組合の重要事項説明書には一体どのように記載されていたのだろうか?という疑念が拭えません。

 

そもそも当時の重要事項説明書に虚偽の記載がなされていたとすれば、

管理会社の「組織運営」のあり方に致命的な問題があると言わざるを得ません。

 

■ 重説を実際に「誰」が作成し、そのチェックを社内の「誰」が行っていたのか?

 

■ 看過できないコンプライアンス違反が行われているにもかかわらず、それが犯罪に至る前に組織内で発覚しなかったのはなぜか?

 

この2点をぜひ明確に説明してほしいところです。

 

もっとも、管理組合側が無知・無関心なのをいいことに重要事項説明すら履行されていなかったとしたら、もはや「付ける薬」もありませんが・・。

 

ちなみに・・

平成29年末時点のマンションストック総数は644万戸です。

一方、新聞記事によると、大京アステージの管理戸数は約43万戸とのこと。

 

なんと、全国の分譲マンションの管理の約7%ものシェアを占めています。

 

業界最大手の老舗さんがこの体たらくとは・・

ホント怖いです。

 

しかも、これは大京アステージだけの問題ではありません。

実は、マンション管理業界全体を覆っている「闇」なのです。

 

直近の2年間だけでも、

社員による金銭着服事件で行政処分を受けた管理会社が、大京アステージのような大手老舗を含めて他に8件もあるのです。

・・・・・・・・・・・

2017年 2月   西新ビルサービス   (東京建物系 「改善措置指示」処分)

2017年 3月   住友不動産建物サービス住友不動産系「改善措置指示」処分)

2017年 4月   第一不動産       (他の違反を含め「業務停止」処分)

2017年10月 ティエスコニュニティ  (現コミュニティワン「改善措置指示」処分)

2017年12月 クラシテ        (「改善措置指示」処分)

2018年  3月   星光ビル管理    (日本生命系 「改善措置指示」処分)

2018年  3月   大林ファシリティーズ(大林組系 他の違反を含め「業務停止」処分)

2018年  7月     コミュニティワン東急コミュニティー系「改善措置指示」処分)

・・・・・

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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