筆者が管理組合の顧問となって8年経過した都内の分譲マンション(ファミリータイプ 105戸)について、通常総会に向けて組合の財政状況に関する概況を纏めた報告書を作成し、提出しました。
8年前の管理費会計、修繕積立金の状況は以下の通りでした。
<8年前(第12期末)>
<今期(第20期末)>
2つの表を比べてみると、管理費会計の収入は8年前とほぼ変わりませんが、経常支出が大幅に減少した(専有面積あたりの月額単価 8年前:@231円→今期末:@196円)こと、それによって収支の「安全余裕率」(剰余金差額 ÷ 収入合計 × 100%)が大きく改善したことがわかります。<8年前:9.8% → 今期末:22.5%>
ちなみに、
管理費会計の経常支出が減少した主な要因は、管理会社に支払っている管理委託費などのコストの適正化が行われ、従前に比べて3割ほど削減できたためです。
一方、修繕積立金会計の動向についても、下記のようにグラフにまとめてみました。
下図の折れ線グラフ(緑)は、繰越剰余金残高(管理組合の純資産)の推移、棒グラフ(青と赤)は修繕積立金の年度別の収入と支出を表しています。
4年前(第16期)に修繕積立金を増額(専有面積あたりの月額単価@124円→@199円)改定したこともありますが、管理コストの適正化によって管理費会計の剰余金が大幅に増加したため、繰越剰余金がどんどん増えており、史上最高額(184百万円)を記録しました。
上記の繰越剰余金残高には、
管理費会計からの振替え分が直近6年間で累計23百万円含まれています。
現状の修繕積立金だけでは、長期修繕計画で見込まれる修繕費をすべて賄うのは難しいですが、今後も安定的に管理費会計からの剰余金振替えができるなら、さほど大きな増額をしなくてもよさそうな状況です。
なお、筆者が10年間顧問を務めているマンション(神奈川県・築26年・90戸)についても、管理組合の財政健全化の過程をまとめた記事を公開していますので、よろしければ下の記事もご一読ください。
(サイトへのユーザー登録が必要ですが、閲覧は無料です)
<参考記事>
村上 智史
最新記事 by 村上 智史 (全て見る)
- マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由 - 2024-12-06
- 【理事長のギモン】マンションの専用庭の芝刈りは誰がやるの? - 2024-12-06
- マンションのリフォーム前に押さえておきたい、管理規約とマナーの基本 - 2024-12-06