マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
マンション内のトラブルで、居住者間の行為・マナーに次いで多いのが、漏水事故です。
国交省の「マンション総合調査」によれば、管理組合の2割近くが水濡れ事故を経験するようです。
水漏れ事故の多くは、以下のような原因によって発生しています。
・ベランダの排水管の詰まり
・洗濯機置き場の蛇口が開きっぱなし
・浴室床下配管からの漏れ
・洗面台蛇口根元からの漏水
・トイレ排水管の詰まり
こうした漏水事故によって、その階下の住戸が水濡れや汚損の被害を蒙り、ひどい場合には数百万円もの損害賠償に及ぶこともあります。
居住者自身の不注意や、日常清掃の不足、設備の老朽化など理由は様々ですが、いつ自分が被害者もしくは加害者になっても不思議ではないと言えます。
被害者もしくは加害者のいずれにの立場であっても、自らが漏水事故の当事者になってしまった場合に、損失を最小限に止め、トラブルを早期に解決するのに役立つ保険の活用方法をご紹介します。
◾️ 「もしもの時」に使える保険の契約内容を確認しておこう!
自分が一体どんな種類の保険に入っていて、どこまでの保障や補償が受けられるのかを認識している方はきわめて少ないのではないでしょうか。
ただ、突然の災難に冷静さを失って使える保険を活用するチャンスを逃すのは大変もったいないことです。
少なくとも以下の2つの保険については加入状況を確認しておきましょう。
1)個人賠償責任保険
この保険は、個人またはその家族が、日常生活で誤って他人にケガをさせたり他人の物を壊したりして、損害賠償金や弁護士費用などを負担した場合の損害を補償する保険です。
ただ、この保険に単独で加入するケースは少なく、様々な保険商品に特約として付帯するのが一般的です。
たとえば、火災保険のほか、傷害保険、自動車損害保険、あるいはクレジットカードなどです。
一方、マンションの専有部分を対象とした保険は、漏水などの水濡れ被害(他人の住戸内で生じた事故あるいは給水設備の事故に伴う漏水・放水・溢水の場合に限る)に遭った際の損害も補償されます。
つまり、加害者になった場合の賠償リスクを肩代わりしてくれるだけでなく、被害者となった場合にも救済されるのでお薦めです。
2)マンション保険
管理組合がマンションの共用部で発生する事故や損害に備えて加入している保険があります。これを「マンション保険」と言います。
ただ、多くの場合、建物の共用部向けの火災や事故のほかに、上記の「個人賠償責任保険」も特約して付保されているのが通常です。
この特約があれば、たとえ専有部分内の漏水が原因であっても、居住する加害者が申告すれば保険が適用され、被害者への賠償金(保険会社の免責金額を超える金額)を補てんしてくれます。
したがって、マンション保険の特約で付保されていれば、個人的にその保険に加入していなくとも救済されます。
管理組合の定期総会では、マンション総合保険の契約情報が開示されるのが通例ですので、その内容を確認しておきましょう。
◾️ 漏水事故の当事者になってしまった時の対処方法
事前に保険の加入状況を知らない状況で漏水事故の当事者になってしまった際には、下記の手順に沿って冷静に対処するようにしましょう。
1)あなたが漏水事故の加害者の場合
個人賠償責任特約が付保された保険に加入していないか、個人用の火災保険、自動車保険、傷害保険、クレジットカードの加入状況や付帯する特約の内容を確認しましょう。
個人の保険として加入していない場合には、管理組合もしくは管理会社に問い合わせて、管理組合のマンション保険で付保されていれば保険適用を申請します。
2)あなたが漏水事故の被害者の場合
相手の加害者に賠償請求しても、加害者が非を認めなかったり、保険に加入していないなどの理由で復旧が進まず、損失を蒙ったままでこう着状態になると困りますね。
もし、あなたが個人用の火災保険に加入していれば、水濡れ補償の特約が付帯している可能性が高いので保険会社に問い合わせましょう。
あいにく個人的にその保険に加入していない場合には、管理組合のマンション保険で個人賠責特約の有無を確認し、付保があるなら加害者を通じて保険申請してもらいます。
(管理組合や管理会社を通じて申請すれば、手続きしてくれます)
3)あなたが管理組合の理事長の場合
漏水の発生を知った時、まず管理組合として必要なのは、原因の確認です。
まず、発生源が共用部かもしくは専有部かを確認し、不明であれば原因調査を行う必要があります。
この調査費については、マンション保険の特約に付保されているのが一般的です。
(ただし、年間100万円以内などの支払い制限が付帯していることが多いので留意)
現場の写真と調査費用の見積書を揃えて、保険会社に申請すれば、審査のうえ問題がないと判断されれば概ね全額が支払われるでしょう。
原因調査の結果、共用部が原因と判明した場合、管理組合が加害者として被害者の住戸に賠償する責任を負います。
専有部が原因と判明した場合は、その住戸の区分所有者が賠償責任を負います。
保険については、契約の有無や補償内容について日頃ほとんど意識することが少ないでしょうが、漏水事故は「マンションあるあるトラブル」の一つです。
個人の保険以外に管理組合が加入する保険も活用できる可能性も高いので覚えておくとよいでしょう。
<参考記事>
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