ダイヤモンド・オンラインに、「 マンション住民を直撃する「3つの値上げ」、管理組合がやるべき防衛策とは」と題した記事が掲載されていました。
<参考記事>
diamond.jp 本記事の要約は以下のとおりです。
● 物価の上昇が続いている。長引く物価高騰の波はさまざまな部分に及び、私たちの暮らしや日常生活のコストに直接的な影響を及ぼしつつある。
● なかでも、マンション暮らしや管理組合の運営に大きく関わってくるのが(1)損害保険料、(2)人件費(3)金利だ。
●(1)マンション損害保険料の改定
共用部分の火災を含む損害をカバーする保険料の全国平均が13.0%引き上げられ、10月1日以降の新規契約・更新で適用される。
● 時勢を考えると、保険料の改定はやむを得ない部分が大きい。だからこそ今、あらためて契約内容の見直しを行うことが重要で、マンションの現状に適した見直しを行うだけでも、保険料の抑制につなげられる可能性もある。
● 管理会社から提案された内容のまま契約し、そのまま期間満了のたびに更新し続け、保険内容の見直しが手つかずとなってはいないだろうか。その場合は以下のようなポイントに着目して、契約内容をチェックしてほしい。
1)保険料が割安になる長期契約(最長5年)となっているか
2)水災補償の見直し
ハザードマップなどからマンションの立地に付随するリスクを再確認し、丘の上など水害が想定されていないエリアでは、補償は不要になる場合もある。3)保険約定金額の割合(付保割合)の確認
建物の再調達価額に対して全額(100%)をカバーするの保険金が必要かを再考しなければならない。4)個人賠償責任特約の解約を検討
管理組合が加入する保険には、居住者が第三者に与えた損害を包括的に補償する個人賠償責任保険が付保されている。
例えば給排水管などから水漏れがあり、階下に被害が出た場合、管理組合が加入する保険の個人賠償責任特約によって支払われるケースが一般的だ。
しかし区分所有者それぞれが個別に個人賠償責任保険に加入していれば、管理組合が特約をつける必要は少なくなる。
ただし、特約を外す場合は、将来的なトラブルを防ぐ意味で区分所有者への通知するなどの配慮を心がけたい。
●(2)管理委託費の増額改定
最低賃金の上昇に伴って、管理員、清掃員など、マンションに関わる人材のコストが上がるのもまた事実だ。人材コストを抑えるためには、管理業務の見直しを適切に行うなどの対策が必要となる。
例えば、管理会社による共用部の点検が年に12回行われている場合、それを6回に減らせるか…といった共用部の点検や定期清掃の回数など小さな見直しも大きな意味を持つ。
管理委託費の値上げが提案された際には、しっかりと理由を確認し、交渉を経た上で、双方が合意できた内容で承認することも重要なポイントとなる。加えて「管理委託費の値上げ」が許容できるかどうかは日々マンションの収支を理解しているかも関係してくるだろう。
●(3)金利の上昇
修繕積立金が潤沢なマンションは金利上昇の恩恵を受け、修繕積立金不足が生じているマンションは金利上昇が負担になるということだ。
財政状況が危ういマンションに関しては手をこまねいていると、より深刻な事態となりかねないため、迅速に対策を講じる必要がある。
● 先手を打ち、修繕積立金の資金運用や保険内容の見直しを実行し、資産価値を高めているマンションと、借り入れを検討せざるを得ないほどの財政状況になっており、各種値上げによって更なる会計のひっ迫が予想されるマンション。まさに二極化の様相を示している昨今、管理組合運営において計画的な準備と早期の対策が求められる。
顧問先のマンション(都内・築22年・76戸)でも、今年5年ぶりにマンション保険を更新しましたが、保険料の増額幅をいかに抑えるかが懸案でした。
当然、損保各社から相見積もりも取得し、「日新火災」が最も保険料が廉価であることがわかりました。
ただ、日新火災でさえ、従前の補償条件を維持する場合は保険料が40%も増えることがわかりました。(5年間で+139万円)
そのため保険料の増額幅を抑えるべく、2つの見直しをしました。
一つは、「(保険会社の)免責額」の設定です。
事故等の保険金の請求に際して、保険会社が免責される金額を1件につき10万円設定しました。
これによって、保険料を58万円節約できました。
二つ目は、「地震保険の付保割合」の調整です。
地震保険は、上限である火災保険の50%相当額の保険金で設定していましたが、ハザードマップでは「やや揺れにくい」地域であること、また津波の影響がないエリアであることを踏まえ、付保割合を30%に引き下げました。
これによって、保険料をさらに77万円節約できました。
これら2つの見直しによって、保険料は従前比+4万円の増加と、ほぼ横ばいに抑えることができました。
なお、免責額の設定は、低額の保険事故に関する保険金請求を抑制する効果があるため、次回の引受保険料の上昇を抑えやすいという副次効果も期待できます。
ちなみに、管理会社はこうした一連の試算や提案をまずやってくれません。
インフレが当たり前となった昨今、「管理会社に万事お任せ」タイプの管理組合は、今後管理費も修繕積立金も、どんどん値上がりしていくでしょう。
<参考記事>
村上 智史
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