以前、このブログでも取り上げましたが、2024年10月以降、損保各社の保険料率が一斉に改定されます。
<参考記事>
kasai.insweb.co.jp今回の改定では、火災保険の参考純率が平均13%の増額となります。
過去10年間で参考純率が4回引き上げられている中で、今回は5回目となり、過去最大の引き上げ幅となっています。
これを受けて、私がマンション管理士として理事長(管理者)を務めている都内のワンルームマンション(築19年)では、マンション保険の中途更改を検討しました。
現在の保険契約の満期は、来年の12月ですから、1年2ヶ月間前倒しすることになります。
現状と同じ補償条件、かつ同じ保険会社で保険料(5年分)比較すると、以下のとおりとなりました。
・現保険料 :335,280円
・9月末までに中途更改した場合 :406,350円(現状比 + 71,070円)
・10月以降に更改した場合 :492,390円(現状比 +157,110円)
したがって、来年の満期で更改するよりも、中途更改の方が約86千円保険料を節約できることがわかりました。
もちろん、中途更改しても現在に比べて保険料の負担は増えてしまいますが、1年2か月分の前倒しによるコスト増は、実質約17千円です。
したがって、満期で更改するよりも差引き約69千円お得ということです。
そのため、9月に臨時総会を開催し、本議案を上程することにしました。
なお、今回の中途更改では、補償条件も一部変更することにしました。
それは、(保険会社の)免責額の設定です。
現契約では免責は「基本ゼロ」ですが、保険事故1件につき5万円の免責を設定します。
これによって、保険料を約25千円節約できます。
そのため、保険料の負担増を最小限に抑えることができました。
もちろん、保険会社の免責分は結局管理組合の負担となり、保険金の受取額が事故1件につき5万円減ることにはなります。
ただ、免責の設定に伴い、今後は少額の保険金請求を控えることになり、それが将来の更改時に保険料の負担増を抑える効果も期待しています。
と言うのも、現在のマンション保険契約では、過去に保険金を受け取った件数が次回の引受保険料に影響するしくみになっているからです。
具体的には、次回の保険始期日から6ヶ月前の時点から遡った2年間(1年間の場合もある)を対象とする保険金の支払いを伴う事故件数がカウントされます。(下図参照)
上記対象期間中の事故件数が0件であった場合、「無事故割引」を受けられ、次回の引受保険料が安くなります。
逆に事故件数が多ければ、次回の引受保険料は高くなってしまいます。
なお、この過去の事故実績の反映は、カウント対象の期間内に保険金を受け取った事故が「何件」あるか(支払保険金ではない)、また、そのマンションの住戸数に対する発生件数がどれだけの割合かという点がポイントになります。
今年中もしくは来年に保険契約の満期を迎える予定があれば、
中途更改を検討してみることをお勧めします。
<参考記事>
村上 智史
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