保険代理店にマンション管理会社を選ぶと、なぜ「損する」のか?

先日、築40年のマンションでの保険契約更改にあたってご相談があり、契約の見直しをサポートすることになりました。

 

現在の保険証券で契約内容を確認したところ、「1年契約」となっています。

この段階で「ん?」と思いました。

 

通常は、5年の長期契約を選択するのが一般的(常識)だからです。

 

その理由は、2つあります。

 

第1に、長期契約の方が保険料が「お得」です。

5年契約で保険料を一括前払いした場合には、1年契約に比べて保険料が1割以上ディスカウントされるからです。

 

第2に、保険料の増額リスクから(契約期間中は)解放されます。

近年、大雨や暴風の発生による損害が大幅に増えているため、各損保会社は保険料を毎年のように増額改定しています。

 

来年1月にも、損保各社が一斉に保険料を値上げする予定ですが、1年契約を継続するとその影響をモロに受けることになるので、明らかに損です。

 

<参考記事>

diamond-fudosan.jp

 

にもかかわらず、なぜこのマンションは1年契約を選択しているのか?

それは、保険代理店を兼ねている「マンション管理会社」に原因があります。

 

この管理組合は「S損保」と契約していますが、

S損保は、管理会社と同じ企業グループの系列会社です。

 

ただ、S損保の場合、高経年のマンション向けの長期契約プランがないため、1年契約を強いられているというわけです。

 

ただ、こうした利益相反の事例は珍しくなく、「管理組合あるある」です。

 

マンション管理会社にとって、

保険代理店としての手数料は各種修繕工事の請負収益と同様に「重要な副収入」のひとつです。

 

管理会社自体が大手損保各社の「相乗り代理店」となり、受託先の管理組合に対して保険加入の提案をし、継続更改しながら安定的な収益を稼いでいるのです。

 

それ自体は結構ですが、問題はその「提案スタイル」にあります。

 

管理会社自体は相乗り代理店なので、契約更改の際に大手損保5、6社から相見積もりを取得のうえ管理組合に提案することが可能なのですが、実際にはそのような「親切な提案」は行われていません。

 

ほとんどの場合、現契約先での更改プラン一択か、せいぜいもう一つ他社の見積もりを加えて二択で提案するくらいにとどまっています。

 

その理由は、相乗り代理店として収益を最大化するには、損保各社満遍なく実績を上げていく必要があるからです。

 

たとえば、現在管理組合が契約中の損保A社の保険料が増額改定されたため、更改時点では同業他社に比べて割高になったとします。

 

その場合、損保A社の代理店である管理会社は、顧客の管理組合にとって有利な引受け条件を提示できる同業他社の見積もりを提案すべきでしょう。

 

しかし、それを実践している管理会社はまずありません。

 

損保A社での成約実績が減ると、代理店としての評価も引き下げられるので、1件あたりの手数料割合(保険料の2割〜3割程度とされる)が減らされるからです。

 

つまり、管理会社の利益相反問題は、マンション保険にもあるわけです。

 

しかも、底意地の悪い管理会社の場合、見直しによって自らが保険代理店を外れそうになると、管理組合に「圧力」をかけて揺さぶってきます。(関連記事参照)

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

その典型的な事例が、

「今後は保険事故が発生しても、保険金申請・請求にかかる取次ぎをしない」

というものです。

 

しかし、これは管理委託契約に反する行為です。

 

管理会社の「事務管理業務」には、「契約事務の処理」という項目があり、「管理組合が行うべき損害保険契約に係る事務を、組合に代わって行う」と記載されています。

 

たしかに具体的な事務の範囲・内容までは言及しておらず、保険金請求事務を行うのかどうかまでは明記していないことが多いのです。

 

そのため、マンション管理会社の所管団体である「一般社団法人マンション管理業協会」の相談窓口にヒヤリングしたところ「標準委託契約で定められた損害保険契約における事務には、保険金請求の代行業務も当然含まれる。」という回答を得ました。

 

そのことを知ってか知らずか、素人集団の管理組合に誤った説明を堂々と行って翻意させようとする悪徳業者もいるので、ご注意ください。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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