マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
今年の10月から、損保各社が一斉に保険料率を改定する予定です。
(ただし、日新火災は来年1月以降)
現在の保険契約の満期が近づいている顧問先マンションでは、更新後の保険料負担を少しでも抑えようとそれぞれ工夫を凝らしています。
今回は、その一部を実例としてご紹介しましょう。
(1)神奈川県のマンション(31戸・築26年目)の場合
■火災保険金 <旧>2億4,000万円 ⇒ <新>変更なし
(その他付帯する賠償保険についても変更なし)
■現保険料(5年分)<旧>約128万円 ⇒<新> 約98万円
このマンションでは、築年数が5年増えているにもかかわらず、保険料が30万円も下がりました。
その理由は大きく3つあります。
主な理由は、「マンション管理適正化診断」の結果が改善したことです。
前回の診断の際には、
1)修繕積立金が国交省のガイドラインよりも低かった。
2)長期修繕計画が10年以上更新されていなかった。
3)保険事故が複数発生し、保険金の支払い実績があった。
今回は、その後4年の間に当社が顧問に就任して組合運営の適正化をサポートをしたことで、まず上記1)・2)の問題が解消されたほか、3)の保険事故の発生もありませんでした。
さらに今春に2回目の大規模修繕工事も完工し、当然瑕疵保証も有効な状況のため、前回に比べて大幅に評価ポイントがアップし、それが引き受け保険料の割引きにつながったというわけです。
そのため、最大保険金額を減らしたり、免責額を増やしたりする必要もなく、コスト削減を実現することができました。
(2)神奈川県のマンション(55戸・築27年目)
■火災保険金額 <旧>2億6,500万円 ⇒ <新>変更なし
■地震保険金額 <旧>火災保険の50% ⇒ <新> 同30%に変更
■施設賠責保険金額 <旧> 2億円 ⇒ <新> 1億円
■免責額(賠責保険を除く)<旧> ゼロ ⇒ <新> 5万円/件
■保険料(5年分) <旧> 343万円 ⇒ <新>310万円
このマンションでは、当初管理会社と同系列の現代理店に見積もりを依頼したところ、いずれの保険会社を選んでも現状比で3割〜5割保険料が増加するとの説明を受けていました。
一方、顧問である当社経由で、他の相乗り保険代理店に提案を依頼したところ、現契約に付帯している「施設賠償責任保険」や「地震保険」の最大補償額や(保険会社の)免責額の調整等によって保険料を引き下げることも可能なことがわかりました。
「免責」とは、事故損害による保険金が組合に支払われる際に保険金から控除される金額のことです。
ただ、事故損害においては、保険金のほかに「臨時費用」と称する見舞金を10%上乗せして支払われます。
たとえば、ある事故損害の支払保険金の査定額が50万円の場合、免責を除く支払い分は45万円です。
一方、本ケースの場合には臨時費用として5万円が支払われるため、受取り額の合計は50万円となり、結果的には満額保証されることになります。
したがって、組合側の実損分は事実上発生しにくいと言えます。
地震保険については、このマンションの立地している環境が丘陵地で地盤も良好であるため比較的揺れが少なく、また津波等による浸水リスクもない環境にあることから付保率を切り下げても問題はないと判断しました。
このように、現契約の条件をフラットに見直すこともコスト増を抑える有力な手段になるのです。
<参考記事>
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