管理委託費が「一式見積」タイプのマンションは要注意!

マンション管理士として、管理組合のためのコンサルティングを始めてから、今年で早5年目を迎えました。

まだ3桁には達しないものの、これまで多くのマンションの管理委託契約書を見てきました。

が、最近この管理委託費の内訳が開示されていない2棟の物件に遭遇しました。

コスト適正化のコンサルティングを依頼された立場としては、こういうのはとても困ります。

査定してみると、総じて現在の契約金額の方が割高なことがほとんどなのですが、そのギャップの大きさは業務ごとにかなりバラつきがあります

業務によってはほぼ適正(これ以上は下がらない)なこともあれば、別の業務では適正金額より2倍以上も高いことも少なくありません。

そのため、業務別の内訳が不明ないわゆる「一式見積」だと、管理組合に対して査定結果を説明する際に、その状況をつぶさに分析して説明することが難しくなってしまいます。

実は、一口に「管理委託費」と言っても下記の通り多岐にわたっています。

(※標準的なサンプルとしてご紹介します。)

■管理員業務費
・受付業務、立会い業務、点検業務など。

■清掃業務費
・日常清掃(掃き拭き等)
・定期清掃(床の機械洗浄など)

■設備管理費
・給水設備保守点検(貯水槽清掃、給水ポンプ点検など ※法定点検含む)
・消防設備点検(総合点検・機器点検 年2回 ※法定点検含む)
・エレベーター保守点検(年4~6回 ※法定点検含む)
・機械式駐車場点検(年4~6回)
・共用部設備の遠隔監視(機械警備&緊急対応)
・雑排水管高圧洗浄(年1回)
・巡回設備点検(年2~4回)
・宅配ボックス保守点検費(年2~4回)

■事務管理費
・管理費等の出納会計、組合会計の管理、決算書・事業計画・予算案の作成など
・理事会や総会の設営ならびに運営補助、議事録案の作成など
・共用部修繕工事の企画・立案・調整など

■一般管理費・諸経費
(※設定しないケースも多い)

当社では、 こうした個々の業務ごとに、契約に記載された仕様(業務範囲や作業頻度・所要時間など)に応じて積算しながら適正と思われる金額を査定します。

管理会社が委託費の明細内訳を示さない理由として考えられるのはただ一つ、「開示する必要性を感じないし、面倒だから」だと思います。

管理組合(理事会)は費用の明細に関心を持つことがないうえ、高いか安いかの価値判断もできないことを見透かしているからでしょう。

しかし、実際には一度も見直した経験のない分譲マンションでは現状比3割を超えるコスト削減余地があることがこれまでの実務経験から実証されています。

もしあなたのマンションの管理委託契約書が「一式見積方式」なら、まずは費用明細を提出するよう管理会社に依頼してみることをお勧めします。

 

【参考記事】

 


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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