マンション管理費の長期滞納者に訴訟を提起!
2024/11/18
私が昨年から顧問を務めている都内のワンルームマンション(築15年目)では、いまだ大規模修繕を行っていません。
今期は建物劣化診断を実施しましたが、案の定、全般的に築年数並みかそれ以上の劣化各所で進行していることがわかりました。
そのため、早期に大規模修繕を実施することが必要と判断し、複数の施工会社候補から見積もりを取得しました。
その結果、少なくとも3千万円強はかかりそうな見通しであることがわかりました。
ただ、この組合の繰越剰余金は現時点で1千万円強しかありません。
しかも、築15年前後は、大規模修繕以外にも集合インターホン、給水装置の更新などの設備関係でも百万円単位で修繕工事が見込まれています。
そのため、いまある積立金をすべて大規模修繕工事に充当することはリスクがあります。
かといって、
区分所有者から一時金を徴収するとしても戸あたり100万円以上の負担になってしまいまうため、現実的ではありません。
毎月の徴収額を増やすことは当然避けられない状況ですが、当面の工事資金をどうやって賄えばよいのか?
検討した結果、このマンションでは、住宅金融公庫の「マンション共用部 リフォーム融資」を活用することとしました。
本融資の特徴は、以下の通りです。
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① 全期間固定の低金利(現在:0.55%)で、担保不要
「マンション管理センター」に保証委託するため、担保は不要。また、保証料や融資手数料も不要です。
② 融資は最大10年まで可能
③ 「マンションすまい・る債」の購入による金利優遇
「すまい・る債」を積み立てている場合は、通常の融資金利から年0.2%下げてもらえます。
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一方、融資を受けるためにクリアしなくてはならない要件もいくつかあります。
その主なものを以下にご紹介します。
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(1)組合総会の決議で以下の事項が全てが決議されること。
・ 「機構」からの借入れ内容。(借入金額、返済期間及び借入予定利率を記載)
・ 借入返済のために修繕積立金を充当すること。
・「商品概要説明書」を議案書に添付のうえ説明すること。
(2)修繕積立金の滞納割合が原則として10%以内であること。
(3)融資限度額は、以下の3つのうち「もっと低い方の金額」とすること。
①融資対象工事費
②戸あたり150万円
③毎月徴収する修繕積立金の80%以内に返済額が収まる範囲の融資額
仮に2千万円の融資(10年)を受けたい場合、修繕積立金の徴収額が年間250万円(∵ 200万円➗0.8)以上ないとNGになります。
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驚くのは融資金利の水準です。
現時点で年間0.55%!
無担保、かつ保証料・手数料ともにゼロで、この条件は画期的です。
しかも、「マンションすまい・る債」を一口でも購入すると、そこから0.2%下げてもらえます。
その場合の金利は、0.35%になるので、2千万円の融資を受けても年間の金利はたった7万円にすぎません。
さらに!
都内のマンションの場合には、東京都による金利の助成制度も受けることができます!!(ただし、本機構の融資を受けていることが前提)
助成の内容は、住宅金融支援機構の金利が1%(1%未満の場合は、当該金利)低利になるまで都が管理組合に対し利子を補給する、というものです。
つまり、現状の融資金利(0.55%)なら「実質金利はゼロ」ということです。
申込の資格は、耐火構造の分譲マンションで、住宅金融支援機構の「マンション共用部分リフォーム融資」を受け、かつ(公財)マンション管理センターの債務保証を受けることが条件です。
ちなみに、今年度分の募集要項によれば来年2月末までの申し込みを受け付けているようですが、年間5,000戸の募集枠がありますから、申し込みは早い方がよいでしょう。
<参考記事>
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