先日、顧問先マンション(神奈川県 90戸)で通常総会が開催され、管理会社との契約更新に伴い、管理委託費が年間約50万円減ることになりました。
このマンションでは、8年前に管理委託費の適正化に取り組み、管理会社との交渉の結果、従前比33%の削減を実現し、剰余金が年間5百万円増加しました。
そして今年、8年ぶりに管理会社から人件費単価の上昇に伴う管理委託業務費の増額改定(現状比13%増 → 年額160万円増)の申し入れがなされたのです。
ただ、長期修繕計画の資金見通しでは、管理費会計の剰余金(年間5百万円)の修繕積立金会計への振替えを含めて賄うことを予定しているため、これを受け入れるとその前提が崩れてしまいます。
また、修繕積立金については、5年前の総会で従前比で50%の大幅改定をしているため、再度の増額は避けたいところです。
とは言うものの、管理員と日常清掃の人件費単価が上昇しているのは確かなので、理事会にて管理員と日常清掃の勤務時間の見直しを行い、仕様変更案として下記の2種類のプランを検討し、マンション内でアンケートを実施しました。
<従前の仕様>【管理員:週勤45時間 日常清掃:週勤16時間】
◾️管理員 :週7日勤務(週5日:各7時間、週2日:各5時間 )
◾️日常清掃:週4日・4時間/日勤務
→ 現状比月額13万円増
<仕様変更プラン:A案>【管理員:週勤39時間 日常清掃:週勤14時間】
◾️管理員 :週6日勤務(週5日:各7時間、土曜:4時間 日曜:休)
◾️日常清掃:週4日(1日の作業時間を30分短縮)
→ 現状比月額4万円増
<仕様変更プラン:B案>【管理員:週勤32時間 日常清掃:週勤10.5時間】
◾️管理員 :週6日勤務(週4日:各6時間、週2日:各4時間、日曜:休)
◾️日常清掃:週3日(1日の作業時間を各30分短縮)
→ 現状比月額4万円減
アンケートの結果、全戸の7割強から回答があり、回答者の約7割が「B案」を支持しました。
そのため、B案で総会に議案を上程することとなり、コスト削減できたというわけです。
このマンションでは、竣工時から管理員が2人体制で、毎日朝から夕方まで勤務しているうえ、日常清掃も別に清掃員を派遣しているため、同規模の他のマンションと比較しても「かなり手厚い」仕様になっていました。
このように、従前の管理品質をさほど落とさないことを前提に、管理仕様を見直す視点を持つことはとても重要だと思います。
<参考記事>
村上 智史
最新記事 by 村上 智史 (全て見る)
- 2024年度マンション管理会社の顧客満足度調査が発表されました! - 2024-10-04
- 【理事長のギモン】ゲリラ豪雨で室内に浸水したらマンション保険で補償されるの? - 2024-10-04
- 管理委託費が大幅増額になると思いきや、逆にコスト削減できたマンション - 2024-09-11