
6月5日付けの東京新聞に、『<マンションの曲がり角>(1)修繕積立金が足りない 工事費用 追加拠出の提案も 管理会社頼らず節約図る』と題した記事が掲載されていました。
<参考記事>
本記事の要約は以下のとおり。
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◾️ 築40年を超えた愛知県内のマンションでは、昨年の臨時総会で修繕積立金を2.5倍に値上げした。その結果、戸あたり概ね1万数千円の負担が3万円前後にまで上昇した。
◾️ 3回目の大規模修繕工事を控え、繰越剰余金では十分な修繕ができないため、大幅な値上げは避けられないと判断した。国交省のガイドラインを参考に算出した増額に、総会出席者の全員が賛成した。
◾️ 過去2回の大規模修繕は積立金残高の範囲内で収まった。ただ、以前から「値上げが必要」という声もあったにもかかわらず、組合全体の動きにつながらなかった。
◾️ただ、これほどの値上げをしても、来年予定している大規模修繕工事の概算額には数千万円足りない。◾️そのため、今年3月に住民説明会を開いて状況を説明し、4月の総会で追加で基金を拠出して不足を補う方法を提案した。
◾️ 管理組合が7、8年をかけて拠出者に返済し、一定の利息も支払う。金融機関に借りるよりも金利負担を抑えられると説明した。
◾️ 拠出は自由意思に委ねる方針だが、各住戸が均等で負担するなら戸当たり約200万円に及ぶという。この提案に「年金生活者にはこれ以上出せない」「一律に出すのは難しい」などの意見が上がった。 「資金調達をどうするか、議論はこれから」という。
◾️ この管理組合と同様に、修繕積立金が不足しているマンションは多い。 資金を増やす方策として様々な取り組みも見られる。◾️ 名古屋市のマンション(築36年・46戸)は、管理会社には頼らずに理事会が自ら仕切って設計監理のコンサル会社と契約した。その後、工事業者を公募し、お値打ちな一社を選んだ。その結果、大規模修繕工事を2千万円近く節約できたという。
◾️ また、エレベーター保守業者を見直して従来の半額に近くまで費用を削減したり、管理人の出勤日数も見直すなどの節約にも努めたという。
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ご自分のマンションの修繕積立金の「適正な水準」(=「均等積立て」を維持できるか)を簡単に知りたいなら、国交省の「マンション修繕積立金ガイドライン」を活用するのがよいです。(下表参照)
【建物本体分の修繕積立金の目安】・・・・<1>

また、機械式駐車場も付設されている場合、その型式やパレットの台数に応じてその設備の維持修繕費を加算することも必要です。(下記参照)
【機械式駐車場がある場合の加算分】・・・・<2>


上記の<1>と<2>の合計すると、「均等積立方式で必要な修繕積立金」
が算出されます。
一方、「現状の修繕積立金の徴収額で確保できる見通しの資金総額」は、
下の算出式で「Z」を求める必要があります。(下記参照)
なお、Yは30年間の場合「360」ヶ月で計算します。

つまり、<1>+<2>の合計と「Z」を比較すれば、どれだけの増額改定が必要なのかが分かります。
いろんな管理組合で、それぞれのマンションの長期修繕計画も見てきましたが、
結局必要な修繕積立金の金額はこのガイドラインの結果と概ね同じ水準です。
(両者の差は、大きくても10%程度)
逆に、現状の長期修繕計画がこのガイドラインと大幅な乖離があるなら、
計画のどこか(工事単価、修繕周期、経費等)に問題があると考えた方がよいでしょう。
また、国交省のガイドラインを見れば一目瞭然ですが、
専有面積㎡あたり月額@200円を下回っているマンションは、間違いなく将来資金不足に陥ると思った方がいいです。
ちなみに、最近の統計データでも首都圏の新築マンションの修繕積立金の平均水準は、@113円 に過ぎません。(下図参照 :東京カンテイ調べ)

これをいかに早期に@200円以上に増額するかで、将来の明暗が分かれるでしょう。
なお、管理費の見直し(コスト削減等)による剰余金の創出方法は、下記の記事をご参照ください。
<参考記事>
村上 智史
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