マンション修繕積立金の増額幅を大幅に圧縮できたワケ
2025/01/06
築24年目の顧問先マンション(都内 39戸)で、先日屋上防水の改修工事が竣工しました。
このマンションでは、11年前の大規模修繕工事において屋上防水の改修工事も実施しましたが、昨年の点検時に防水面に多数の浮きや破断が生じていました。
そこで、複数の業者から相見積もりを取得することとなり、当社からは他の顧問先でもすでに5件の受注実績のある防水工事業者を紹介し、比較検討の結果、選定されることになりました。
受注できた要因は、見積もり金額自体は既存工法とほぼ同水準ながら、10年保証が一般的とされる屋上防水工事において、「25年」の長期保証が付帯するからです。
なぜ25年間という長期保証が可能なのか?
使用している素材の特性が、既存工法(アスファルト、ウレタン、塩ビシートなど)とはまったく異なるからです。
この工法では、ドイツ最大の総合化学メーカー「BASF」が開発した「ポリフィン3018」という素材を使用しています。
排水口(ドレン)周りもその形状に合わせて「ポリフィン3018」でシートを溶着します。
「ポリフィン3018」の特徴は、以下の通りです。
(1)「可塑剤」を使用していない
既存の屋上防水工法の素材に大量に含まれている「可塑剤」は、経年とともに防水材の硬化や収縮を引き起こします。
しかし、「ポリフィン3018」には可塑剤が含まれていない為、経年に伴う弾性の低下が起こりません。
(2)「紫外線吸収剤」を使用している
紫外線には強い化学的作用があり、有機物の分子結合に悪影響をもたらして劣化させます。
これによって、樹脂の退色やクラックの発生、抗張力及び伸びの低下といった防水性を低下させる様々な現象を引き起こします。
「ポリフィン3018」は、光化学反応を防止する添加剤として開発された「紫外線吸収剤」を使用しています。
ただし、「ポリフィン3018」が対応できる部位は、原則として屋上平場部分が対象となり、居住者が歩行しない場所に限られます。
バルコニーやペントハウスといった、面積が狭い、あるいは凸凹のある複雑な形状の場所等については、既存工法によるシール材やウレタン防水を併用せざるを得ません。(下図参照)
そのため、こうした「ポリフィン3018」を施工した箇所以外のメンテナンス(部分補修)が工事後10年目・20年目で必須となり、それぞれ100万円程度の修繕費用を見込む必要があります。
この10年目と20年目のメンテナンスを実施することを条件に、最長25年の保証が付帯するしくみになっているのです。
ただし、アスファルトやウレタンなどによる既存工法の場合、改修の周期が一般的に 10年〜15年とされており、改修のサイクルがかなり短くなります。
そのうえ、紫外線や雨水による経年劣化を緩和するために、5~6年周期でトップコート(保護塗装)工事の実施を推奨しています。
そのため、下図で示すとおり、「ポリフィン3018」を採用した方がランニングコストはかなり安価におさまると思います。
<参考記事>
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