マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
11月7日付けの不動産ニュースと不動産業務のためのサポートサイト「R.E .Port」に、「規約変更を支援し、窓断熱リフォームを実現」と題した記事が掲載されていました。
<参考記事>
本記事の要約は以下のとおりです。
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◾️ 小田急不動産(株)らは7日、再販するために取得した世田谷区内の既存分譲マンションに、断熱窓化を中心とするリフォーム等を実施し、報道陣に公開した。
◾️ 同社が取得のうえリフォームを実施し、その後完成現場見学会などを実施することで、居住者に断熱・省エネリフォームによる経済効果や適切な維持管理を周知・啓発する取り組みで、東京都の「既存住宅流通促進民間支援事業」に選定された事業。
◾️ 築25年のマンション(専有面積73平方メートル、3LDK)に、水回り設備をすべて刷新するリフォームを実施。また、リビングからバルコニーに出る掃き出し窓はカバー工法で、その他の窓についても、断熱性能の低い単板ガラスだった窓についてはガラス交換の手法で、断熱性の高いペアガラスへと交換した。
◾️ このマンションには管理規約に共用部のガラス等の改良時の取り扱いに関する取り決めがなく、リノベーションの実施に先立ち、管理会社が規約の追加について理事会での検討や総会への上程時に必要な資料の提供等、管理組合を支援。特別決議により規約新設を実現し、窓リフォームを実施できるよう後押しした。
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マンションに住み始めて暫く経つと、リフォームしたくなりますね。
部屋の模様替えはもちろんのこと、床のフローリング工事や、老朽化した給湯器やユニットバス等の設備を新しく入れ替えることもあるでしょう。
また、新築より割安な中古マンションを購入して、入居前に大きく改装したいと考える方もいらっしゃいます。
こんな時、たとえ住戸内の工事でも、分譲マンションの場合は「管理規約」に則って進める必要があるので注意が必要です。
◾️ 「管理規約」とは?
マンションの区分所有者は、管理組合に加入しなければなりません。そして管理組合には、住人共同の利益を守り、良好な住環境を確保するための規範・ルールとして管理規約が定められています。
管理規約には通常「専有部分の修繕等」という条文が定められており、住戸内のリフォーム工事を行う場合の手続きの方法について記載されています。
◾️ 事前申請が必要な理由
専有部分をリフォームする場合でも、管理組合に事前に工事の申請を行う必要があります。その理由は大きく2つあります。
(1) 共用部分への影響がないかの確認
マンションには共用部分と専有部分がありますが、その正しい区分についてはあまり知られていません。
部屋内の天井、床、および壁についても躯体部分は共用部分に該当します。
また、窓枠や窓ガラス、網戸といった開口部も、「専用使用権のある共用部分」です。
工事の範囲や内容が規約に違反していないか、また共用部が工事の対象に含まれていないかについてを管理組合がチェックするため、事前申請が必要です。
共用部分をリフォームする場合、たとえ自ら費用を負担するとしても、区分所有者だけの意思で改変することは認められていません。
なお、冒頭のご紹介した記事のように、住戸の窓ガラスをより断熱性の高い「ペアガラス」に改装したいと思っても、共用部分に該当するため、別途管理組合の承認を得る必要があります。(ただし、破損したガラスを交換する場合を除く。)
なぜなら、窓サッシなどの開口部についても共用部分に該当することから、管理組合がその責任と負担において、計画修繕工事として実施するのが前提になっているためです。
しかしながら、管理規約を変更すれば、
各区分所有者の裁量と負担で窓サッシをリフォームすることも可能です。
具体的には、国交省の「マンション標準管理規約」に則り、「 第22条」の改定(下記第2項を追加)について総会で決議することです。
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マンション標準管理規約
第22条 (窓ガラス等の改良)
共用部分のうち各住戸に附属する窓枠、窓ガラス、玄関扉その他の開口部に係る改良工事であって、防犯、防音又は断熱等の住宅の性能の向上等に資するものについては、管理組合がその責任と負担において、計画修繕としてこれを実施するものとする。
2 管理組合は、前項の工事を速やかに実施できない場合には、当該工事を各区分所有者の責任と負担において実施することについて、細則を定めるものとする。
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個人的に窓のリフォームを行いたいものの、管理組合では修繕積立金が不足しているために消極的であったりする場合には、管理組合に上記の様な規約の変更を提案することをお勧めします。
(2) 近隣住戸への周知のため
リフォーム工事を実施する場合、工事業者が共用部分を出入りしたり、作業に伴い騒音が発生するなど、近隣の居住者の生活に少なからず影響が出ることが予想されます。
工事の事前申請が承認された後、その申請書の写しが共用部に掲示されます。
いつ、どの部屋でどんな工事が行われるかをあらかじめ周知することで、近隣からの苦情を未然に防ぐことができます。
◾️ リフォーム実施上の注意点とマナー
実際にリフォームをする場合に注意すべきポイント等をご紹介します。
(1)マンション独自のルールがないかを確認
各マンションの管理規約には、申請書の提出だけでなく、工事のやり方、工事に使う用材や色の指定まで決められていることもあります。
具体的な例では、指定業者以外の出入り禁止、水廻りの設備の移動禁止、配管の交換禁止などを定めている事例もあります。
その他、分電盤の容量やガス給湯器のサイズについてはあらかじめ上限が決められている場合も少なくありませんので、事前に管理規約に目を通すようにしてください。
(2) 必要な書類等を揃えて申請書を提出
設計図、仕様書、工程表を添付のうえ、工事申請書(通常の場合、管理組合指定の書式があります。)を管理組合理事長に提出します。
この申請を行わなかったり、正式に承認が下りる前に工事を実施した場合には、管理組合から工事の差止めや原状回復の措置を求められることもあるので留意が必要です。
(3)近隣住戸への気配りも忘れずに
最後にマナーとしてのアドバイスですが、大掛かりなリフォームをする場合には、自分の両隣りと上・下階の住人に挨拶されることをお奨めします。
特に中古マンションを購入して入居前にリフォームする場合には、新たなコミュニティでの生活をスムーズに始められるよう、近隣住戸に対する気配りが大切です。
たとえば大きな家財道具の搬入や工事中の騒音によって迷惑をかけるかもしれない時は、おおよその時間帯を伝えておくと親切です。なお、その際相手が不在の場合に備えて、自分の連絡先も記したメモを準備しておくとよいでしょう。
マンションの専有住戸は、区分所有者の自由にリフォームできるものと思いがちです。
ただ、実際の専有部分は一般的なイメージよりも狭いこと、そしてマンションは同じ住人との良好な関係を保つ配慮が必要な場であることを認識しておきましょう。
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