
全国のマンション管理組合では「規約改定ラッシュ」が起きています。
一方、管理会社から十分なサポートが受けられず、対応に苦慮する管理組合の事例もあるようです。
<参照記事>
「マンション管理の根本規範「管理規約」が空前の改正ラッシュ、現場で起きている大混乱のなぜ…管理会社が協力しない“塩対応”も続出」
diamond.jp今回は、その背景と、管理組合が今取るべき対策について解説します。

1.なぜ管理規約の改定が「不可避」なのか
これは、 今年4月1日に改正施行された区分所有法への対応のためです。
また、この改正法の施行に先立って、国交省が昨年10月に「マンション標準管理規約」を改正しています。
標準管理規約自体は法律ではないため、改定される都度キャッチアップする必要はありません。
今回すべての管理組合で規約の改定が避けられないのは、区分所有法の改正点に、複数の「強行規定」の変更が含まれているため、すべての管理組合の管理規約と間で「齟齬」が生じ、規約の一部が無効になってしまうからです。
管理規約は、管理組合にとって「最高規範」とされる最も重要なルールです。
そのため、改正法と間で齟齬が生じると、実際の組合運営にもさまざまな支障が生じるので、早めに改定しておくことが必要なのです。
2.なぜ管理会社は「塩対応」なのか
「管理会社に任せておけば規約改定をサポートしてくれるだろう。」
そう考えている管理組合は少なくないでしょう。
要領の良い管理会社は、最新版の標準管理規約に則った改定案を管理組合に提示し、次回の通常総会で議案を上程する段取りを進めています。
しかし、実際には消極的な対応を示したり、行政書士など外部に有償で委託することを勧める管理会社もあります。
その背景には、大きく2つの問題があります。
(1)管理規約の改定は「手間暇がかかる仕事」
管理規約の改定に際しては、
・現行規約のチェック
・法改正内容の説明
・各条文の新旧対照表作成
・理事会での説明資料作成
・総会の議案説明
まで行う必要があります。
専門性が高く、時間もかかる作業ですが、事前に改定サポートのための報酬について事前に予算を確保していないと「タダ働き」になってしまいます。
(2)人手・人材の不足
業界ではフロント担当者の不足が深刻化しています。
通常業務だけでも多忙な中で、全国一斉の規約改正に対応することは容易ではありません。
また、法改正に精通している社員も少なく、率直に言えば管理組合にわかりやすく解説できる人材が不足しているのが実情です。
3.管理規約改定の進め方
管理会社から十分なサポートが得られないけれど、管理組合として必要な対応は早めにやりたいと考えている場合、どうすればよいでしょうか。
顧問先の管理組合では、以下三つのステップで進めています。
<ステップ1> 法改正の趣旨・ポイントを理事会で共有する
今回の区分所有法の改正の趣旨、ならびに改正の主要なポイントについて理事会内で正しく理解してもらいます。
何が不足しているのか。まず現状把握が必要です。
<ステップ2> 改定項目に優先順位を付ける
今回の改正項目を、以下のように分類します。
①改定が不可欠な事項<いわゆる「強行規定」に属するもの>
②改定が望ましい事項
(※ 「所在等不明区分所有者の除外制度」や「マンションに特化した財産管理制度」など新たな措置された法制度の活用については規約に規定しなくても構いません)
③将来的に検討すればよい事項<標準管理規約独自の規定など>
また、すべてを一度に改定する必要はありません。
マンションごとの実情に応じて優先順位を付けることが重要です。
ただ、これまで国交省の標準管理規約に則って改定してきた場合は、最新版の標準規約にアップデートしてしまう方がかえって手間がかからないでしょう。
<ステップ3> 現行規約と改定案の条文対比表を作成する
上記方針に則って、改定対象となる各条文の新旧対比表を作成し、理事会内で確認します。
確認できたら、総会に上程する議案の作成を行います。
4.現行規約を「有効」に保つために最低限やるべきこと
上記のような流れで、規約の改定を進めてもらうのが最も理想的ですが、人的にも費用的にも、また時間的にも余裕がない場合は、以下の「強行規定」の箇所だけ手当てするだけでもよいです。
<1> 「特別決議事項」における決議要件の緩和
現行法では、規約の変更や共用部分の変更等のいわゆる「特別決議事項」は、組合員総数及び議決権総数の各4分の3以上の賛成が必要です。
一方、総会に出席せず、委任状や議決権行使書すら提出しない区分所有者は、特別決議や建替え決議においては「反対者」と同様に扱われます。
そのため、無関心な区分所有者が多いマンションでは、重要な議案であるにもかかわらず必要な賛成数を確保できず、組合の運営が停滞するケースも生じています。
そこで、区分所有者に総会への参加や組合運営への協力を促すべく、総会議案に対して一切意思を示さない区分所有者をあらかじめ賛否の集計対象から除外し、「出席した区分所有者の多数決」(ただし、委任状・議決権行使書の提出者を含む)による決議に変更されることになりました。
<標準規約第47条3項>
「組合員総数の過半数であって議決権総数の過半数を有する組合員の出席を要し、出席組合員及びその議決権の各4分の3以上で決する。」
<2> 総会定足数の変更
上記の特別決議の要件に合わせて、普通決議を含む総会の定足数を議決権総数の「半数以上」から「過半数」に変更しました。
<3> 「共用部分の変更」に係る決議等の多数決要件の緩和
「共用部分の変更」は特別決議事項に該当しますが、下記の条件を満たす場合に限り、出席組合員及びその議決権の「各3分の2」以上の多数決に緩和されました。
【緩和の条件】
イ )敷地及び共用部分等の設置又は保存に瑕疵があることによって他人権利又は法律上保護される利益が侵害され、又は侵害されるおそれがある場合におけるその瑕疵の除去に関して必要となるもの
ロ )高齢者、障害者等の移動又は施設の利用に係る身体の負担を軽減することにより、その移動又は施設の利用上の利便性及び安全性を向上させるために必要となるもの
<4> マンション再生等に係る決議要件の緩和
これまでの建替えに加えて、新たな再生手法として、更新(一棟リノベーション)・売却・取り壊し(除却)を行う場合の規定が追加されました。
これらの決議要件は、原則として組合員総数及び議決権総数の各5分の4以上で変わりません。
ただし、以下の客観的な要件が認められる場合は、「各4分の3以上」に決議要件が緩和されました。
【客観的緩和の事由<下記項目のいずれかに該当すること>】
①耐震性の不足
②火災に対する安全性の不足
③外壁等の剝落により周辺に危害を生じるおそれ
④給排水管等の腐食等により著しく衛生上有害となるおそれ
⑤バリアフリー基準への不適合
<5> 総会招集時の通知事項等
1)総会招集時の通知事項の追加
すべての議案に「議案の要領」(議案の内容を把握し、検討できる程度の情報を要約したもの)を示すよう変更されました。
2)緊急に総会を招集する際の通知予告期間
総会の招集通知の発送について、最短期間を開催日の「5日前」 から「1週間前」に変更しました。
3)共用部分の変更に係る決議及びマンション再生決議について、多数決要件が緩和される場合には通知事項とする。
<6> 共用部分等の損害賠償請求権の代理行使
共用部分(屋根、外壁、配管など)に瑕疵や損害が生じたとき、個々の区分所有者がバラバラに請求すると、法的整理が煩雑になり、請求漏れや重複請求が発生するリスクが生じます。
そのため、改正法では「管理者である理事長が一括して損害賠償請求権等の代理行使を行う」旨の原則規定が設けられ、管理規約にもその旨を反映する必要があります。
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「マンション管理見直し本舗」では、
管理規約改正支援を有償で承っています。
具体的には、
・現行管理規約の診断
・法改正への対応状況のチェック
・管理組合の実情に応じた改正項目の選定
・改正条文案・新旧対照表の作成
・理事会・専門委員会での説明
・総会議案書の作成支援
・総会当日の説明・質疑応答
まで、一貫してサポートしています。
管理規約は、一度改正すれば終わりではありません。
今後のマンション管理を左右する重要な「土台」です。
「管理会社から改正を勧められたが、何から始めればよいかわからない」
「管理会社だけでは十分な支援が受けられない」
そんなお悩みがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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共用設備(エレベーター、機械式駐車場、集合インターホン、防犯カメラなど)の保守点検費、更新工事の適正価格を把握することができます。
その他、お悩みのことがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
村上 智史
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