マンションの大規模修繕工事、いったい何から始めればいいのか?―準備から竣工までの「4年間の軌跡」

管理組合にとって

十数年に一度の「大規模修繕工事」。

 

しかし、いざその時期が近づいてくると、

「そもそも何から始めればよいのか?」

「管理会社に任せておけばよいのか?」

「設計会社や施工会社は、いつ、どうやって選べばよいのか?」

と戸惑う管理組合は少なくありません。

 

それも当然です。

 

多くのマンションでは理事が輪番制で交代するため、大規模修繕工事を実際に経験したことのある役員はほとんどいません。

 

しかも、大規模修繕工事は単に「施工会社を選んで工事を発注すればよい」というものではありません。

 

むしろ、大規模修繕工事の成否は、

工事が始まる前の準備段階でかなり決まる と私は考えています。

 

<目 次>

[:contents]

1. 顧問先マンションで第2回大規模修繕工事が完工

私が顧問を務める神奈川県内のマンションで、

先般、第2回大規模修繕工事が無事完工しました。

 

このマンションでは、2022年から検討を開始しました。

最初に行ったのは、施工会社を探すことではありません。

 

いつ頃工事を実施すべきかを検討するため、

まず建物の劣化状況を客観的に把握するための建物劣化診断を実施しました。

 

同時に、必要な修繕箇所の数量を積算してもらい、

現時点での概算工事費を把握するところからスタートしました。

 

そこから実際の工事が完了するまで、足掛け約4年。

 

「4年もかかるの?」と思われる方もいるかもしれません。

 

工事そのものは実質5ヶ月程度です。

 

しかし、管理組合の仕事としては、

それ以外にやるべきことが数多くあります。

2.大規模修繕工事は「管理組合の一大プロジェクト」

大規模修繕工事の検討を進めるにあたっては、

次のような事項を中心に検討する必要があります。

 

・建物の劣化状況を把握し、いつ実施するか

・どの範囲まで修繕対象とするか、どういう仕様を選択するか。

・工事を進めるための管理組合内の体制をどうするか。

・工事の発注スキーム(責任施工方式か、設計監理方式か)

・外部専門家にどこまで委託するか、どこに発注するか

・施工会社の候補をどうやって選ぶか?

・概算の工事費の予算はいくらか?

・組合の資金状況(修繕積立金残高)はどうか?

・資産価値向上のためのリノベーション工事を検討するか?

 

そして、施工会社・外部専門家の選定や、

工事の発注や予算の決定、工事実施に際しては、

区分所有者に事前説明を行いながら合意形成を図っていく――。

 

このようなプロセスを一つひとつ積み重ねて、

ようやくゴールにたどり着きます。

 

そして工事が始まった後も、追加工事や仕様の見直しの検討など、

その都度、管理組合として判断しなければならない場面が出てきます。

 

つまり、大規模修繕工事とは、

多額のお金を使いながら、数年先を見据えて数多くの意思決定を行う

「管理組合の一大プロジェクト」なのです。

3.「専門家に任せること」=「丸投げ」ではない

もちろん、建築や工事に関する専門的な判断を、管理組合だけで行うことは現実的ではありません。

 

設計コンサルタントや施工会社、管理会社など、専門家の力を借りる必要があります。

 

しかし、ここで注意したいのは、

「専門家の力を借りること」と「専門家に丸投げすること」は違う

という点です。

 

誰に、何を、どこまで任せるのか。

提示された提案や見積もりは妥当なのか。

限られた修繕積立金をどこに優先的に使うのか。

 

最終的にそれを判断するのは管理組合です。

 

だからこそ、専門家のアドバイスを受けながらも、

管理組合自身が判断できる体制をつくっておくことが重要になります。

 

このマンションでも、

「管理組合主導」という考え方を大切にしながら、

約4年間にわたって一つひとつのプロセスを進めてきました。

4.準備・検討から竣工までの全プロセスを可視化

今回、このマンションで建物劣化診断に着手してから、大規模修繕工事が竣工するまでの約4年間の経過を、YKK AP株式会社が運営するサイト「A-PLUG」の連載記事にまとめました。

 

<

p class=”p2″>第47回
「管理組合主導の大規模修繕工事 体制整備から竣工までの4年間の軌跡」

aplug.ykkap.co.jp<※A-PLUGは建築関係のプロユーザーを対象とした会員制サイトです。記事全文の閲覧には会員登録(無料)が必要です。>

 

「これから大規模修繕を控えているが、何から始めればよいのか分からない」

「設計会社や施工会社を選ぶ前に、管理組合として何を準備しておけばよいのか知りたい」

「管理会社や専門家に任せきりにせず、管理組合として主体的に大規模修繕を進めたい」

という管理組合の皆さんには、参考になると思います。

 

また、

・設計監理方式の外部専門家の費用や委託内容

・施工業者候補の絞り込みや評価の方法

・施工業者の倒産リスクに備えた瑕疵保険の活用

・ライフサイクル・コストの低減策

・リノベーション工事の検討

といったテーマも取り上げています。ぜひご一読ください。

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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