12月4日付けのYahoo!ニュースに、「 被害総額は最大9億円の可能性 ビルメンテナンス会社の元社員、マンション管理組合の預金を着服か」と題した記事が掲載されていました。
<参考記事>
本記事の要約は以下のとおりです。
■ 大阪府吹田市に本社を置く「ビケンテクノ」に勤務していた60代の元男性社員が、複数のマンション管理組合の預金を着服した疑いがあることが分かったた。
■ 被害総額は最大で約9億円に上る可能性があるということです。
■ビケンテクノによると、元社員の男性は20年近く会計業務に携わっていたが、11月中旬に連絡が取れなくなり、調べたところ、管理組合の預金を不正に引き出した疑いがある。
■対象となる管理組合は10を超えており、会計に関する書類を改ざんしていた可能性もあり、被害総額は最大で約9億円にのぼる可能性があるとしている。
■会社は男性を懲戒免職としているが、すでに警察に相談している。
「株式会社ビケンテクノ」は、創業60年を超えるビルメン会社の老舗で、東証スタンダード市場に上場しています。
社員もパート等を除いて2千名を超える大手企業です。
現状の調査によると、同社の元社員が管理組合様の預金を不正な手段で引き出し、管理組合会計に関する書類を改ざんしたため、発覚ができなかったものとされています。
12月1日付けで、外部専門家(弁護士、公認会計士)による調査委員会を設置し、本件の調査を進めることになったとの発表をしています。
当該文書によると、対象の管理組合が多数、かつ預金口座等も多数にのぼるうえ、過去に遡って調査を実施する必要があり得ること、まら元社員が消息不明のため調査の手がかりが限定されること等から、調査に時間を要するだろうとの見解を述べています。
現時点では全容不明であるものの、被害総額は9億円程度に達する可能性があるとのこと。
同社のホームページを確認する限りでは、マンション管理業の登録はあるものの、さほど実績は多くなさそうです。
また、過去の事例を確認する限り、同社においてマンション管理適正化法に係る違反事例は見られません。
管理組合の会計処理は特殊なうえ、物件数もさほど多くなかったことから、長年同じ社員が単独で関わっていたことが想像され、その結果、社内での監視・チェックが行き届かなかったことが被害額を大きくした要因の一つのように思われます。
なお、会計操作の方法として、架空の修繕工事費を計上するなどの手口もあったのではないかと思われますが、管理組合の理事や監事による会計帳簿のチェックも杜撰だった可能性が考えられます。
昨今、新築マンション等で「管理会社による第三者管理方式」が増加する傾向にありますが、これに冷や水を浴びせたような事案と言えます。
<参考記事>
村上 智史
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