マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
6月15日に住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されると、いよいよ分譲マンションでも民泊事業を行うことが法的に可能になります。
しかし、本年2月のマンション管理業協会の発表によれば、マンション管理組合で民泊容認を決議したのは1%以下とのことです。
そんな中、新潟県湯沢町のリゾートマンション「エンゼルリゾート湯沢」の管理組合の総会において、「住宅宿泊事業(民泊)制度導入に関する議案」について賛成多数で可決したという記事を見かけました。
このマンションの管理会社である株式会社エンゼルが住宅宿泊管理業者に指定され、建物管理に加えて民泊の管理も同社が手掛けることになったとのことです。
同社の広報によれば、
「安心してワンストップで民泊を行える仕組み」を提供することによって、マンションの「資産価値の向上」と「管理運営の健全化」を実現したいとのことです。
湯沢町のリゾートマンションの多くは80年代後半〜90年代前半のいわゆるバブル期に建設されましたが、築20年以上が経過したことで建物設備の老朽化や、定住者・リゾート利用者の減少、管理費の滞納などの課題を抱えています。
<参考記事>
そのため、民泊制度の導入をテコに管理組合の財政状況の改善を通じてマンションの資産価値向上を目指すということです。
住宅宿泊事業法では、現に居住されていない住宅で民泊を行う場合には、住宅宿泊管理業者へ管理を委託することが事業者(=区分所有者)に義務付けられています。
そのため、この管理会社が住宅宿泊管理業者も兼ねることになったのです。
同社のホームページを見ると、リゾートマンションのオーナー向けに民泊利用に関するフィージビリティスタディからリフォームの企画立案、民泊物件紹介サイトへの登録、利用者の予約管理、カギの受け渡し、部屋の清掃まで一貫して受託する体制を提供できる体制をアピールしています。
リゾートマンションの場合、別荘として利用する期間以外は空き部屋となるため、民泊の収益でオーナーが潤うことが可能になれば、期待収益の向上を通じてマンションの資産価値増加につながる余地が出てきます。
また、民泊事業の管理もオーナーから請け負うことによって、管理費等の滞納が発生した場合には民泊の収益を差し押さえることで回収しやすいという利点もあると思われます。
したがって、本スキーム自体は民泊事業である区分所有者にとっても安心なしくみと言えるもので、とても良いと思います。
一方、懸念されるのは、民泊ビジネスの成否の方です。
京都や箱根といった安定的な旅行ニーズが期待できるエリアならまだしも、湯沢町で民泊需要がどこまで期待できるのか?
機会があれば、今後の進捗も教えて欲しいところです。
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