管理会社を変えなくても、管理コストの適正化は実現できる!

10/17付けの朝日新聞に、「マンション管理会社の変更 増える相談 実はリスクも」と題した記事が掲載されていました。

 

digital.asahi.com

その要約は以下の通りです。

■ コロナ禍で自宅にいる時間が長くなる中、 日中も家で過ごす時間が増え、マンションの管理状況が気になるようになり、管理会社の変更の相談が増えている。

■ 管理会社を変える理由として多いのが「コストダウン」。コロナの影響で先行きが見えない中、管理費などのコストを下げられるのなら下げたいというニーズが増えているという。管理委託費を下げて浮いたお金を大規模修繕に使うための資金に回すこともできる。

 

■ 管理会社の変更自体は、管理組合の総会で過半数の賛成を得られれば可能だ。ただ、変更を考える際のポイントは、サービスレベルを維持・向上させながら、コストを抑えることができるかどうか

 

■ 管理会社の変更を安易に検討するのはリスクが高い。マンション管理会社の変更は、「成功報酬型コンサル」の存在やマンションが抱える二つの「老い」などを踏まえて考える必要がある。

 

■ 管理会社の変更を強く勧めてくるコンサル会社には注意が必要だ。報酬を削減できた年間管理費の「50~100%」とする「成功報酬型」の場合、コンサル会社は管理(委託)費を可能な限り下げようとする。結果として管理会社のサービスが悪化するということになりかねない。

 

■また、今は管理会社が管理組合を選別できる時代になっている。マンションの老朽化が進めば維持管理の費用や手間がかかるが、高齢化した居住者にとって更なる支出増は厳しく、管理費や修繕積立金の増額は容易ではない。

 

■そのため、新たな管理会社が見つからないだけでなく、今委託している管理会社から契約解除を申し入れられるケースもある

 

■管理員の人手不足も、新たな交渉先を見つけづらくする要因だ。管理員は定年後の職業として選ばれるのが一般的だが、人手不足に伴い企業内の定年延長や再雇用の制度が整備されたため、管理員のなり手を確保するのは簡単ではなくなっている。

 

■ まずは、今契約している管理会社で改善できる道を考えた方がリスクは小さい。

 

管理会社を変えたいという主な動機が「コストダウン」にあるなら、管理会社の変更までする必要は必ずしもありません。

 

実際、当社が管理組合をサポートした事案では、リプレイスして管理委託費を下げるに至ったマンションは過去数件しか事例がありません。

 

また、本記事にも掲載されているように、専門知識のない素人集団の管理組合が自力でリプレイス(管理会社の変更)をしようとする場合、以下のようなリスクがあります。

 

(1)同業他社から取得した見積金額だけで安易に判断しがち。

管理委託契約書には、以下のような管理仕様の詳細が記載されています。

・管理員の勤務日数・時間(例:週5日、4時間/日勤務など)

・清掃や設備管理の実施頻度や作業内容(作業範囲やその方法など)

・設備管理の仕様の詳細(例:エレベーター保守点検はフルメンテナンス仕様)

 

こうした管理仕様にもとづいて各業務の経費を積算し、それに会社の経費・利益を加算して管理委託費の総額が決まります。

 

現在の管理仕様を理解しないまま安易に他社から相見積もりを取得しようとすると、知らない間に仕様が変更されて「安かろう悪かろう」に変わってしまうこともあります。

 

あるいは、その逆もあります。

 

現状の管理仕様が過剰なため、同規模のマンションと比べて割高な負担を強いられている場合で、これが意外に多いのです。

 

管理組合の役員さんはほぼ気づくことはありませんが、プロはすぐにわかります。

 

過剰な仕様を見直す千載一遇のチャンスを活用しないのはもったいないと思います。

 

(2)理事会と一般組合員間の認識のズレ

管理会社の社員(フロント担当者)とコミュニケーションを取っているのは、理事長などの役員だけです。

 

一方、役員以外の一般組合員は、日頃は管理員としか接触しません。

 

そのため、管理員が居住者からの評判が良い場合、理事会が管理会社を変えようとしても他の組合員から反発を受けるケースがよくあります。

 

特に管理会社リプレイスの大義名分として「コスト削減」を掲げた場合、管理員交代に伴って清掃などの面で品質低下のリスクがあることを理由に抵抗されることが少なくありません。

 

「管理の質を落とさずに管理委託費を下げる」ことは、「管理コストの適正化」と言い換えることができます。

 

「管理コストの適正化」を実現すること自体に反対する理由はないので、通常はすべての組合員から支持を得られるものと思います。

 

問題なのは、その「方法の選択」にあります。

 

第一に、今の管理会社を変えなくても「管理コストの適正化」は実現できます。

したがって、リプレイスを前提に考える必要はないということです。

 

二つ目は、素人集団の管理組合が自力で管理会社と交渉したり、リプレイスを視野に入れて同業他社から相見積もりを取得して比較検証できるのか、ということです。

 

これは上記のリスクに鑑みると容易なことではありません。

信頼できるプロのコンサルタントに任せることをお勧めします。

 

ちなみに、本記事ではコンサルタントの成功報酬に関するリスクについても触れていますが、説明が不十分なため、あたかも悪質なコンサルタントが横行しているような誤った印象を受けます。

 

たとえば、現状の委託費に対して削減できた金額の50%をコンサルタントに支払うということは、管理組合も(その多寡にかかわらず)同等の金額について剰余金の増加として経済的なベネフィットを享受できることになります。

 

つまり、コンサルタントと管理組合でコスト削減の成果を半分ずつシェアするということです。

 

そのため、基本的にコンサルタントと管理組合は利益相反の関係にはなりません。

したがって、コスト削減の成果を最大化しようとすること自体は問題はありません。

 

注意すべきは、「管理仕様を下げてコスト削減する」ケースです。

上記の通り、素人集団の管理組合は現状の委託契約の内容を熟知していません。

 

コスト削減を実現する過程で今の管理仕様を維持しているのか、一部変更しているのかを確認することが大切です。

<ただし、委託契約書を読み解けるだけの最低限の知識が必要となります。>

 

それ以外に管理品質が下がる要因としては、

管理会社のフロント担当者などの人材の質や業務の怠慢などが考えられます。

 

ただ、残念ながら上記のリスクは委託契約書の記載内容では到底カバーできないので、コンサルタントの責任範囲を明らかに超えています。

 

管理会社をリプレイスする場合は、こうしたリスクが潜在していることについて管理組合には了解していただきたいと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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