マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
都内にある顧問先マンション(築23年)では、昨年末に2階住戸内で漏水事故が発生しました。
当該住戸直上の3階居室の床下配管を調査したところ、給湯管にピンホールがあり、漏水原因箇所と特定されました。
実は、当マンションのような「銅でできた給湯管」が経年劣化し、ピンホール状の穴が空いてしまうことに伴う漏水事故は、「マンションあるある問題」の一つなのです。
ネット等で調べたところ、無料で劣化診断を実施してくれる業者がいることがわかったので、先月2つの部屋を対象に室内の給湯管をファイバースコープで調査してもらいました。
その結果の概要は以下のとおりです。
■ 劣化度合いは、5段階評価の「5」
「早急に更新もしくは改修が必要な、緊急性が高い状態」
銅管内に腐食生成物や緑青の発生がみられ劣化の現象、痕跡が 見られる。ピンホールの発生に伴う漏水が発生する可能性が高い危険な状態である。
■ 当マンションの給湯管はバイオフィルム(細菌生物膜)の付着が多く見られる。緑青など腐食生成物の発生も激しい状態で漏水が多発してもおかしくない状態である。(下記画像参照)
■ 銅管における「バイオフィルム」はピンホールの最大原因と位置付けられる。
銅は自分で自分を守る「腐食生成物」と言う保護膜を形成する性質があり、腐食生成物が不働態被膜となり、それが安定化すれば耐久性が増す。
■ しかしながら、給湯管は温度の上下変動が激しく、流れの始動停止の可動域が大き いなど環境が安定せず、不働態被膜になりえない状況にある。
■その結果、水の中の有機物が銅管内に付着し、腐食生成物の上に有機物の付着膜(バイオフイルム)を形成する。このバイオフイルムの成長とともに、集団を形成し、「コロニー」になり、管内の保護膜を攻撃するようになる。
■この猛烈なアタックによって保護膜が破壊され、部分腐食を増幅させて最終的に管内のピンホールの発生に至らしめる。
銅管は、殺菌効果、耐熱効果、電導効率等に優れている一方、給湯用として使用すると温度変化が激しく、流れては止まるの可動域が頻繁なため、流体の管内衝突が激しいというとてもストレスの多い環境にあります。
また、残留塩素やバイオフイルム (細菌生物膜)の影響も絶えず受けています。
その結果、発生電流や静電気などの電気的刺激と相まってピンホールが発生し、そこから漏水が起きることが分かってきました。
そのため、近年では、給湯管も給水管と同様、ポリエチレンなどの「樹脂管」を使用しているのが一般的です。
しかしながら、この銅管のピンホール問題については有効な対策が無く、基本的には漏水が発生したら、漏水部分を探して、一部撤去・交換という古典的な対策しかないのが現状です。
また、専有部分に該当するため、管理組合でも修繕の対象として検討しづらいという事情もあります。
ただ、今後同様の漏水事故が他の住戸でも頻発する事態になった場合、マンション保険料が高騰するだけでなく、保険契約自体の更新ができなくなる可能性もあります。
また、漏水が発生した他の住戸に対する賠償問題についてはマンション保険で賄えたとしても、自分の住戸内の給湯管交換を含む修繕工事は自分自身で負担せざるを得ません。
この業者では、独自の給湯管更生の工法を提案できるようなので、改めてその工法や見積もり金額についてわかり次第、紹介したいと思います。
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