こんな時こそ知っておきたい地震保険 5つの特徴

去る4月14日の震度7をきっかけに、熊本県や大分県では大きな地震が相次いでいます。

今回の一連の地震活動を受けて、西日本が巨大地震前の地震の活動期に入ったのではないかとの指摘もありますが、現在の研究レベルではまだわからない面があります。

ただ、他の地域でも今後、同規模の地震が起きる可能性があることを考えて備えを進めていくしかないでしょう。

災害に備えた危機管理は、平穏無事な日常の中ではなかなか考えられないのが普通ですが、こうした広域災害を機に自分のマンションでどのような防災対策が取られているか確認しておくことは大切です。

また、災害によって実際に物理的な被害が発生した時には、必要に応じて保険を申請することも可能です。現在管理組合で付保している「マンション総合保険」の内容を確認し、必要に応じて見直されるとよいでしょう。

地震に関する保険でまず押さえておきたいのは、マンション総合保険に加入しているだけでは、地震に起因する火災等の損害については補償を請求できない、という点です。

そうなると地震保険にも別途加入すべきか?ということになりますが、地震保険はかなり特殊な性質をもつ商品なので、加入検討にあたっては以下に掲げる5つの特性をあらかじめ理解しておくことをお勧めします。

 

【押えておきたい!地震保険5つの特徴】

1)地震保険単独での加入はできない

主たる火災保険と必ずセットで付保しなければなりません。

2)地震で全壊しても、保険金による再建はできない

地震保険の最大補償額は、火災保険の50%以内に制限されています。そのため、たとえ地震で建物が全壊したとしても受取保険金だけでマンションを再建することは到底できません。

ただ、この保険金は「被災後の生活再建の足掛かりにするためのもの」という位置づけのため受け取った後の使途は自由で、組合の裁量で区分所有者間で公平に分配することができます。

 3)建物の躯体部分の被害が補償対象になる

いわゆる構造躯体部分(土台、柱、壁、屋根)に損傷があった時に初めて補償の対象となります。

言い換えると、外壁の軽微なひび割れ(クラック)、外壁タイルや窓ガラス等への被害は対象から除かれるので注意しましょう。

4)損害の判定レベルにもとづき保険金の支払額が決まる

地震保険の場合、下記の通り3つのレベル(一部損、半損、全損)で支払額が決まります。(※ 2017年1月の改定時に、4区分に変更される予定あり。)

 ・一部損<時価額の3~20%> →  5%の保険金支払い
 ・半 損<時価額の20~50%>  → 50%の保険金支払い
 ・全 損<時価額の50%以上>  → 100%の保険金支払い
したがって、被災で時価の50%相当が損傷しても、保険金は最大補償額の50%しか支払われないことになります。

そのうえ上記のとおり補償額は火災保険金に対して最大50%までしか付保できませんからこの点も留意する必要があります。

5)保険料が割高である

保険金額が主契約(火災保険)の最大50%以下であるにもかかわらず、地震保険をセットすると、保険料が火災保険の概ね2倍くらいまで跳ね上がってしまうので、コスト・パフォーマンスとして容認できるか検討すべきでしょう。

なお、2017年1月に地震保険にさらなる改定(再値上げ)が実施される予定ですので、関心のある方は下記サイトもご参考にしてください。

<参考>

allabout.co.jp


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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