マンション修繕積立金の増額幅を大幅に圧縮できたワケ
2025/01/06
ある日、マンション内の駐車場のシャッターが破損する事故が発生しました。そのためにシャッター全体を取り替えることになってしまいました。
しかし、そのシャッターは設置してまだ3年しか経過しておらず、これまで異常や不具合といった事象は一切見られませんでした。
ただ、近くに設置されたマンション内の防犯カメラではシャッターの近景を捕らえることができず、原因は分からず仕舞い……。
結局、メーカーの保証期間がすでに終了していることは確認したものの、今回の事故の原因が不明だという理由で、管理会社はマンション保険の適用を申請すらしませんでした。
そのため、管理組合はその補修のために200万円近い工事費用を負担することになったのです。
ただ、通常管理組合が加入している共用部のためのマンション総合保険には、火災保険以外に「基本補償」として以下のような事故等による損害がカバーされます。
■ 落雷による事故
■ 破裂・爆発事故
■ 不測かつ突発的な破損・汚損
■ 風災・ひょう災・雪災
■ 物体の落下・飛来・衝突事故
■ 騒擾・集団行動に伴う暴力行為
<このほかに、特約として施設賠償責任保険、個人賠償責任保険、地震保険なども付けられます。>
この補償範囲から類推すると、冒頭で紹介した事故は「不測かつ突発的な破損・汚損」に該当する可能性があり、保険適用の申請に値する事案でした。
管理会社の担当者は、シャッター故障の原因もメーカーにヒヤリングすることしていませんでしたが、改めてメーカーヒヤリングを行った結果、
・設置してまだ3年の設備であり、経年劣化が原因とは考えられない。
・外部からの何らかの応力が働かない限り破損することは考えられない。
という証言が得られたことで、「不測かつ突発的な破損・汚損」に該当するという結論になり、保険適用が承認され、高額な費用負担を免れることができたのです。
管理組合の役員で、マンション保険の補償内容に精通した方はほとんどいらっしゃらないでしょう。
そのため、管理会社の担当者の知見に頼らざるを得ません。
しかし、その担当者が十分な知識やスキルを持っているかは「運」次第です。
自分たちの資産や財産を守るために、管理組合としてどう行動すべきか考えさせられます。
その対策の一つとして、医者の診察と同じように「頼れるセカンドオピニオン」を確保することが挙げられます。
管理組合にとって「掛かりつけの医者」といえば、多分ふつうは管理会社になるのでしょう。
でも、管理会社が常に正しい判断をするとは限りません。
今回のようなトラブル等に備えて、たとえば保険や設備、修繕といったプロの専門家からのセカンドオピニオンをもらえる体制があれば、リスクヘッジにつながると思います。
マンション管理士も、セカンドオピニオンを提供できる専門家として管理組合に認識してもらえるよう日々努力しなければなりませんね。
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