先日、(公財)マンション管理センターが、「管理計画認定手続支援サービス」の開始及び「事前確認講習」の実施についてホームページで発表しました。
これによると、マンション管理センターでは、本年4月より、管理計画認定の申請をオンラインで実施することを可能にするとともに、管理計画の認定基準への適合状況を事前確認講習を受けたマンション管理士が事前に確認する「管理計画認定手続支援サービス」の提供を開始する、とのことです。
また、管理計画の認定基準への適合状況を事前に確認するマンション管理士を対象とした講習(事前確認講習)を実施することになりました。
さっそく、私もこの講習の受講を申し込みました。
と、ここまで読んで「いったい何の話かさっぱり・・??」と感じた方は、以下の参考情報をご一読ください。
【参考:管理計画認定制度とその運用の仕組みについて】
■ 建物の老朽化や管理組合の担い手不足が顕著にみられる高経年マンションが今後急増する見込みであることを踏まえ、マンションの老朽化を防止するための維持管理の適正化や、老朽化が進み維持修繕等が困難なマンションの再生に向けた取組の強化が喫緊の課題になっている。
■ こうした中、「改正マンション管理適正化法」が令和2年6月 に公布され、地方公共団体によるマンション管理適正化推進計画制度や管理計画認定制度などが創設された。
■ マンション管理センターでは、上記制度の創設に伴い、管理組合が地方公共団体に行う管理計画の認定申請手続を円滑化するため、「管理計画認定手続支援サービス」を提供することになった。
■ マンション管理センターによる「支援サービス」の概要
① 認定申請手続の円滑化のため、マンション管理センターがインターネット上の電子システムを提供し、そのシステムを活用することによって、必要事項を入力すれば、地方公共団体に提出する申請書を簡易に作成できる。
② 申請者が地方公共団体に申請を行う前に、マンション管理士が管理計画の認定基準への適合状況を「事前確認」し、認定基準に適合していると判断した場合、当該管理組合宛てに、センターが「事前確認適合証」を発行する。
③ 地方公共団体は、上記「事前確認」の結果を活用することで認定事務に係る負担を軽減できる。
④支援サービスの開始時期
2022年4月1日から申請受付開始予定
要は、今後老朽化ストックの急増とともに、管理不全や財政破綻などの状況に陥る分譲マンションが増えることが危惧されるため、地方公共団体が主体となって管理組合の運営が適正になされているかをモニタリングする制度がスタートすることになったわけです。
しかしながら、専門知識のない地方公共団体が実務を行うことは難しいため、「マンション管理センター」への業務委託という形で運用することになりました。
そして、この地方公共団体への支援業務の実務を担うのが、マンション管理士ということです。
具体的には、申請したマンションの管理計画が「国が定めた認定基準」を満たしているかを「事前確認」します。(ただし、地方公共団体が独自に基準を定めることも可能)
一定の要件をクリアしていると判断した場合には、マンション管理センターが「事前確認適合証」を発行し、地方公共団体がこれを追認する、というわけです。
ただ、マンション管理士の有資格者なら誰でもこの事前確認ができるわけではありません。
この資格の所管団体であるマンション管理センターが主催する「事前確認講習」を受講し、修了しなくてはなりません。(修了した場合、2028年3月末まで有効)
ところで・・
マンション管理士は、その試験合格率が例年一桁台という難関資格の一つなのですが、弁護士や公認会計士といった他の有名ライセンスと比べると専業で生計を立てている人は、ほんの一握りかと思います。
その最大の理由は、マンション管理士が
「業務独占資格ではなく、名称独占資格にすぎない」からとされています。
簡単に言うと「マンション管理士の資格がないとできない業務はない」からということです。
たとえば、マンション管理士の有資格者でない人が、自分の名刺に「マンション管理コンサルタント」と記載して営業活動をしても、法的には何ら問題はありません。
コンサルタントとしての属人的なスキルや営業力さえ持ちあわせていれば、わざわざ国家試験を突破する必要はないということです。
言い換えれば、それがこの資格自体の「最大の弱み」だったわけですが、今回の新たな制度の発足によってマンション管理士もいよいよ業務独占資格に昇格という「宿願」が叶うことになりそうです。
<参考記事>
村上 智史
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