マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
6月11日に、大手マンション管理会社の「大京アステージ」らが、デジタルトランスフォーメーションによる“次世代型マンション管理サービス”の開発に着手したというニュースリリースを行いました。
本リリースの要約は以下の通りです。
■ 大京アステージと穴吹コミュニティは、マンションをとりまく社会課題の「3つの老い」(建物の老朽化、居住者の高齢化、労働力の老い)などに対応する「次世代型マンション管理サービス」の開発に着手した。
■ 業界No.1の管理実績からこれまで得たナレッジに、ICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などの最新テクノロジーを融合させた“新たなマンション生活様式”を創造するとともに、労働集約型の管理業務の変革を目指す。
■ 第一弾として、管理組合の総会をウェブ上で視聴できる「WEB総会」サービスを、2020年7月より試験的に提供する。
■ 通信障害などのリスクも想定し、総会決議をWeb上で行う方法ではなく、書面・電磁的方法などによりあらかじめ議決権を行使した上で、自宅などからウェブで総会を視聴できるようにする。
■ 今後は、理事会の実際の場とWEB参加の双方向で対話が可能な「WEB理事会」サービスの開発やその場で議決権行使が可能な「WEB総会」サービスにも対応できるよう検討する。
■ WEB総会サービスの機能を活用して、居住者間の「WEB意見交換会」など管理組合イベントでの活用や、「工事説明会」「防災セミナー」「空き駐車場の抽選会」など各種説明会での活用も予定している。
■ また、2020年秋から順次、デジタル技術で居住者の健康を支援するヘルスケアサービスや、管理組合と管理会社との電子契約システムなどを導入する予定。
■ 電子契約システムの導入については、管理委託契約など書面の電子契約システムを導入することで、契約書保管の負担や印紙代を削減できる。
■また、居住者からの日常生活における相談やトラブル発生時の緊急連絡、各種申請手続きなどをアプリで簡単にできる環境を整備する。
■AIを活用し、管理組合の総会資料や議事録を自動作成することで、社員の事務業務効率化を進めていく。
マンション管理のコンサルタントとして起業してから、今年で8年目を迎えました。
インターネットやパソコン、スマートフォンの普及によって、私たちの仕事や日常生活のあり方もかなり変容しましたが、管理組合の運営についてはまだまだアナログの部分が多いと言わざるを得ません。
理事会や総会の開催の際には、大量の資料や議案書を毎度コピーしていますし、総会議事録の送付や委任状等のやり取りも捺印を伴うこともあって常に郵送です。
組合経費の精算についても、理事長による電子承認で管理会社が支払いを代行するシステムを活用しているケースもありますが、原則としては、管理会社が銀行に提出する払戻し請求書を理事長に送って、押印したものを郵送で返してもらうのが一般的です。
外出自粛を余儀なくされた期間中に、日本独特の「ハンコ文化」がリモートワーク普及の障害になっているとの報道もありましたが、管理組合の運営もまったく同様です。
重要情報の漏洩や組合財産の喪失といったリスクを回避するセキュリティ対策には万全を期すことがもちろん前提条件ではあるものの、今回の「コロナ対策」を機に古色蒼然とした管理組合の運営様式が見直される動きは歓迎しますし、大いに期待するところです。
ただ、管理会社がこうした電子化システムを通じて管理組合にサービスを提供することに伴って懸念される点もあります。
現在でも、管理組合の理事会・総会の開催やその議事運営を管理会社が事実上仕切れる立場になることが実情のため、管理会社にとって都合の悪い議案(管理委託契約の見直し、管理会社のリプレイス)を上程したり、利害関係の当事者となる管理会社をオミットすることに抵抗感を感じたり、消極的になる管理組合が少なくありません。
今後こうした電子化システムを管理組合に提供することで、ますます組合運営を牛耳ることが容易になりかねません。
つまり、「顧客の囲い込み強化」という経営戦略の面も少なからずあると考えるべきです。
その証拠に、本記事には今後予定しているメニューとして、以下のような説明がなされています。
■問い合わせの多い換気扇フィルタの交換方法などを動画で説明する「住宅設備メンテナンスの仮想体験」などのコンテンツを追加していく予定。
■設備メンテナンスや交換などのマンション固有の各種情報を定期的に配信する。
マンションの共用部分はもちろんのこと、専有住戸内のサービスも視野に入れた「流通経路の独占」が狙いであると思います。
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