
顧問先マンションで今月起こったばかりの話です。
現在高圧で受電しているマンションで、管理会社より「契約中の新電力からいきなり契約解除の協力願いという文書が届いた。」との連絡がありました。
その内容を要約すると以下の通りです。
■ 2018年8月から契約している某新電力会社より、「契約解除のご協力のお願い」という書面が届いた。
■ エネルギー価格の高騰により、料金単価を改定することとなり、改定後は類を見ないほどに高くなるので、供給契約解除をお勧めするとのこと。(書面では、現在の料金単価が3倍強に跳ね上がる内容となっている)
■ 料金改定をして契約を継続する場合、料金承諾期日が今から「4日後」に設定され、契約を継続する場合は理事長に捺印のうえ返送してほしい。
■ 現契約を解約する場合には、契約解除日が4月初旬となっており、それまでに他の電力会社と契約し切り替える必要があるとのこと。
高圧電力については、昨年くらいから新電力が東京電力よりも安い金額を提示できなくなっていたことは知っていたので、「東京電力エナジーパワー」への切り替えを進めるよう管理会社に提案しました。
しかし、その後東京電力エナジーパワーからは「契約辞退」の連絡が来ました。
これは、他にも新電力と解約する顧客が受け入れ先を求めてすでに殺到しており、東電側がオーバーフローしているためです。
(現時点では、受け入れの時期も全く未定です。)
では、そんな時どうすればよいのでしょう?
唯一残された方法は、「最終保障供給」の利用です。
これは、小売電気事業者のいずれとも電気の需給契約についての交渉が成立しない高圧以上の顧客に対して、「電気最終保障供給約款」にもとづき電気を供給することです。
【参考 想定される最終保障供給のケース】
本件の場合であれば、新電力との契約が解除され、その後の新たな供給先と契約するまでの期間、「一時的な供給元となってくれる電力会社」が最終保障先です。
首都圏の場合、最終保障先は「東京電力パワーグリッド」となります。
現状では、暫定的に「東京電力パワーグリッド」に身を預けるしか選択肢がないため、そこに解約日までに切り替えできるよう、現契約先に話を通してもらうよう依頼しました。
今後、東京電力エナジーパートナーへの切替え可能になったときには、改めて案内が来る予定です。
ただし、東京電力パワーグリッドの料金は、
東京電力エナジーパートナーよりも2割くらい高くなるようです。
また、今回の電気供給先の変更については、原則としては総会決議で進めるべき事案とは思いますが、上記事例で見る通り、意思決定に1,2週間程度の猶予しかない中、臨時総会を開催して決議するのは到底困難と言うべきです。
したがって、緊急措置として理事会で決議して供給先の切り替えを粛々と進め、その後の総会で本件の経過報告を行うのが現実的だと思います。
<参考記事>

村上 智史

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