マンション管理組合をミスリードするズサンな長期修繕計画にご注意を!

先日、コンサルティングを行なった神奈川県所在のマンション(134戸 築23年)で長期修繕計画を確認したところ、修繕積立金の徴収額が専有面積あたり@151円/月ありながら、資金不足が生じない見通しになっていることがわかりました。

(下図参照 数値は、専有面積(㎡)あたりの月額換算した金額)

 

 

しかしながら、このマンションの延床面積や機械式駐車場の台数をもとに、国交省のガイドラインに基づいて必要な修繕積立金を試算したところ、均等積立方式であれば専有面積あたり@366円/月となりました。

 

これを30年間で必要な修繕費に換算すると、約12億円になります。

 

ところが、このマンションの長期修繕計画によると30年間の修繕費は約7億円に過ぎず、上記ガイドラインに比べて5億円も少ないことがわかりました。

 

そのため、このマンションの長期修繕計画を精査したところ、下記の通りいくつか大きな問題がありました。

1)大規模修繕工事費の見込額が実勢価格に比べて安すぎる

2)共用設備の修繕費用の計上不足

・機械式駐車場(125台分)の修繕費についてパレットの更新費しか見込んでいない

・集合インターホン、増圧給水ポンプの更新費用が少ない

・配電盤設備、自家用電気工作物の更新費用の計上が漏れている。

 

上記の項目を是正していくと、

今後30年間で見込まれる修繕費の合計額は@349円/月となり、概ねガイドラインと近似することがわかりました。(下図参照)

 

したがって、均等積立方式で資金収支の赤字分(@139円)を埋め合わせようとすると、現状の徴収額@151円/月から@290円/月への改定が必要ということになります。

 

詳しい経緯は不明ですが、この長期修繕計画は管理会社が作成したものであるものの、大手のマンション管理会社のように積算システムにもとづいて作成された体裁ではなく、フロント担当者が手作業で作成しているような印象を受けました。

 

このような杜撰な長期修繕計画にもとづいて運営された場合、将来大きな資金不足が発覚することは間違いなく、早急な見直しが必要と報告しました。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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