管理組合総会の過半数決議でマンション内の民泊を禁止できる!?

先日の住宅新報に、「総会等の過半数で民泊禁止 国交省が与党公明に報告」という記事が掲載されていました。

本記事の要約は以下の通りです。

  • 国土交通省は8月24日、与党公明党の「マンション問題議員懇話会・国土交通部会合同会議」で、住宅宿泊事業法に絡むマンション標準管理規約の改定について説明を行った。
  • 住宅宿泊事業法は今年6月の国会成立から1年以内の施行されるため、遅くとも18年6月には施行となる予定。ただし、事業者の登録は(その3ヶ月前の)18年3月には始まる予定。
  • 来年3月の事業者登録の開始までに、民泊禁止などの管理規約の細則改定が調わない場合には、総会・理事会などでの住民過半数決議により、民泊禁止を認めるという方針を国交省が説明した。
  • 現状では民泊可能とする場合には管理組合側に規約明記が求められていないが、同省では今後規約への明記が望ましいとする通知を行う。

マンション内での民泊利用については、現在の標準規約にある「区分所有者は、その専有部分をもっぱら住宅として使用するものとし、他の用途に供してはならない」という文言だけでは民泊を禁じているのかは明らかではないとされています。

そのため、民泊利用を排除したい場合は現管理規約を改正してその旨を明記することが望ましいとの考えから、国交省は民泊利用の可否を盛り込んだ標準管理規約の改正を予定しており、全国の管理組合に推奨していく意向です。

 

しかしながら、規約を改正する場合には組合員全体の4分の3以上の賛成が必要なため、来年の法施行や事業者登録までに規約を改正するのは容易ではありません。

こうした事情を踏まえて、国交省は今回は「緊急避難的な措置」として、来春までに規約の改正が調わない場合は総会・理事会などでの過半数決議により民泊禁止を認めるという提案をしたのではないかと思われます。(総会決議と理事会決議ではかなりハードルの高さが違うのが気になりますが……。)

 

こうした政府の配慮自体は好ましいと思いますが、上記のような民泊問題に関する議論や裁判沙汰にまで発展しているトラブルがあることも、多くの管理組合ではほとんど認識されていないのが実情ではないでしょうか。

管理組合の情報収集といえば、もっぱら管理会社に頼っている傾向があるので、管理会社からからタイムリーな発信や提案がない限り、規約改正等の動きにまで進捗することはとても期待できないでしょう。

国交省には、同省が管轄している「マンション管理業協会」を通じて、管理会社から 各管理組合に対して必要な情報の発信とアドバイスがなされるような措置を講じてもらいたいと思います。

また、これまでは管理規約の改正まで行うことが望ましいとしながらも、総会等の普通決議で民泊禁止を認めることとなった場合の政策的な整合性をどう取るのかについては本記事では明らかにされていません。その点については今後も要注目です。

<参考記事>

 


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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