マンションの屋上防水改修工事に「25年」の長期保証が付帯する理由
2024/12/06
動産経済研究所が運営する情報サイト「R.E.por」に、「マンション管理計画認定制度、板橋区が初の認定」と題した記事が掲載されていました。
本記事の要約は以下の通りです。
■ 国土交通省は、2022年4月から開始した「マンション管理計画認定制度」で、全国初の認定事例として、東京都板橋区の「高島平ハイツ」が取得したことを発表した。
■ 同制度は、マンション管理組合の管理者等がマンションの管理計画を作成し、マンション管理適正化推進計画を策定した都道府県等に提出し、一定の基準を満たす場合、認定を受けることができるもの。
■ 認定を取得したマンションは、住宅金融支援機構のフラット35やマンション共用部分リフォーム融資の金利が引き下げされるほか、管理組合が同機構の「マンションすまい・る債」を購入する際、利率が上乗せされる。
■ 21年度末時点で、マンション管理適正化推進計画を策定済みのマンション管理計画認定制度自治体は、大阪市、名古屋市、福岡市、京都市、板橋区など。横浜市、神戸市、千葉市、仙台市、豊島区などが22年度中に策定する予定。
■ 同省の調査によると、政令指定都市と東京23区は、すべての市区においてマンション管理適正化推進計画の作成意向があり、中核市・特例市でも8割弱の市に作成意向があるとのこと。
■ ストックベースでは、22年4月時点で全国の約22%のマンションが認定制度の対象となる。22年度末時点では7割超、23年度末時点では8割超のマンションが対象となる見込み。
本制度については、すでに国がマンションの適正管理のための基本方針ならびに具体的な認定基準を示しています。
ただ、実際に管理計画を認定する主体は、マンション所在地の各地方公共団体です。
つまり、管理計画の提出先は、そのマンションが所在する地方公共団体であり、地方公共団体の長(知事等)が認定するしくみです。
また、各地方公共団体は、必要に応じて地域の実情を勘案した独自の管理適正化法指針を定めることも可能な建付けになっています。
そのため、まず地方公共団体が管理計画の申請について受け付ける態勢が整っているかを確認するようにしましょう。
その他に、本制度について留意すべきことを以下の通り整理しましたので、ご参考になれば幸いです。
1)認定を受けることは「義務」ではない!
少なくとも現状では義務ではないため、特に急いで対応する必要はありません。
2)認定を受けるには事前に総会決議が必要!
実際に管理計画の認定を申請するに際しては、下記の通り都道府県への申請料ならびにセンターのシステム利用料等がかかるため、事前に総会承認を得る必要があります。
たとえば、東京都 の場合は以下の通りです。
・マンション管理センターへの申請料金 :20,000円
(事前確認審査を受ける場合のシステム利用料含む)
・都への申請料金 : 4,100円
また、認定基準自体は明示されているので、お金の無駄遣いにならないように管理規約や長期修繕計画等がその基準をクリアするかどうか事前にチェックしておきましょう。
3)認定取得に伴うインセンティブの付与がある!
認定されたマンションについては、組合の事前同意のもとでマンションの名称、所在地等が「認定マンション閲覧サイト」(マンション管理センター所管)で一般公開される予定です。
そのため、中古物件として購入を検討する場合の参考データになる可能性がありますが、管理組合にとってはそれだけで認定を受けるための誘因とはなり得ないでしょう。
ただ、住宅金融支援機構がすでに公表している以下のインセンティブは、知っておいた方がよいと思います。
(1)認定取得済みのマンションに対する融資金利の引下げ
住宅金融支援機構の融資として「フラット35」、「マンション共用部分リフォーム融資」がそれぞれ年0.25%の引き下げとなります。
(2)「マンションすまい・る債」の利率上乗せ
住宅金融支援機構が発行している「マンションすまい・る債」について、令和5年度募集分から利率上乗せ制度を創設する。
「マンション共用部分リフォーム融資」とは、大規模修繕工事を実施する際の資金不足を補うために、無担保で最大10年間の融資を受けられる制度です。
また、「マンションすまい・る債」とは、管理組合による修繕積立金の計画的な積み立て等をサポートするために支援機構が発行している10年債券です。
支援機構には国が認可を出しており、 管理組合は債券を購入することで修繕積立金を機構に預け、管理してもらうことができます。
「すまい・る債」では年1回利息を受け取ることができ、償還(満期)までの期間は10年です。
メガバンクの定期預金でも事実上ゼロ金利の状況の中、0.2%の金利(10年)が付きますが、認定を受けられればさらに利息が上乗せされる、ということです。
今後は損害保険料や固定資産税などについても、このようなインセンティブが付与される可能性はあるでしょう。
<参考記事>
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