管理組合の実態が垣間見える「マンション管理トレンド調査2023」

7月14日、一社)マンション管理業協会が「マンション管理トレンド調査2023」を公表しました。

 

この法人は、ほとんどのマンション管理会社が加入している、いわば「業界団体」です。

 

2019年度からマンションの受託動向調査に加えて、管理業の総合的な基礎資料として調査を実施しているとのことです。

 

今回の調査結果の中で、注目すべき項目は以下のとおりです。

■ IT活用の取組み状況

78%の会員が「WEB会議システム」を導入または検討中

■ 「管理計画認定制度(適正化法)」の取組み

・ 9%の会員が、既に管理計画認定を受けたマンションがある
・62%の会員が、対応中(地方公共団体の施行に合わせて提案予定含む)
・24%の会員が、特に検討していない

■ 長期修繕計画における修繕積立金不足への対応について

(1)直近1年間に管理組合に提案した施策

  第1位 修繕積立金の値上げ

  第2位 長期修繕計画の見直し(修繕周期の長期化など)

第3位 管理費支出削減(電子ブレーカー、LEDなど)

第4位 修繕工事の見送り、仕様ダウン

第5位 駐車場の外部貸し

 

(2)修繕積立金の増額について、増額に至らなかった理由

  第1位 事前の説明会やアンケートで反対が多かった

第2位 総会で否決された

第3位 総会に議案を上程したが、反対者等の発言で議案審議を保留した

 

【IT活用】

コロナ禍期間中の「3密対策」への対応で、Zoomなどのアプリを活用したリモート理事会が開催されるようになったのは確かですね。

 

管理組合の保守性を考えると、おそらく5年くらい導入が早まったように思います。

 

これに伴い、顧問先のマンションでも、理事会のリモート開催ができるよう管理規約を改定しました。

 

【管理計画認定制度】

各自治体での受付体制がなかなか整備されないことに加えて、法的義務でもなく管理組合にとって認定を受けるインセンティブ(誘因)が小さいことから、前向きに検討しようという管理組合はかなり少数だと思います。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

今年度から始まった、「長寿命化促進税制」も、調べてみたら適用要件がかなり厳しいので、普及を促すドライバーには到底なりえないでしょう。(下記記事参照)

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

【修繕積立金の不足への対応】

やはり管理会社へのアンケートだけあって、「管理委託費の削減」はトップにならないですね。

 

長期修繕計画における「修繕周期の長期化」というのは、現場の建築・設備の劣化状況をきちんとモニタリングしたうえで調整するなら結構ですが、安易な「お為ごかし」のようにも聞こえます。

 

ちなみに、先日弊社がコンサルティングしたマンション(34戸・築24年目)は、

管理費会計の収支が赤字に陥っていますが、

■ 電子ブレーカーの導入 ⇨ 年間 9万円の電気料金削減

■ マンション保険の見直し⇨ 年間10万円の保険料の削減

の2つを実施すれば年間19万円のコスト削減ができることがわかりました。

 

こうしてみると、管理組合にとって管理会社のサポートは不十分な点が多いと言わざるを得ません。

 

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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