マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
6月25日に、マンション管理組合の元役員が多額の着服で逮捕されるというニュースが飛び込んできました。
事件の概要は以下の通りです。
■ 警視庁は25日、マンション管理組合の口座から約2000万円を引き出して着服したとして、業務上横領の疑いで、元会計担当理事(女性 76歳)を逮捕した。
■ 元理事は、100回以上にわたって計約3600万円を着服したとみられる。
■ 元理事は、平成25年1月から26年12月にかけて、東京都江東区にあるマンションの組合名義の口座から、52回にわたって預金を引き出した疑いがある。
■ 元理事は「家族と経営していた会社の運転資金に使った」と説明している。
■ 警視庁によると、元理事は10年から管理組合の会計担当理事を務めていた。28年7月以降、通帳を持ったまま行方不明となったため、組合理事長が通帳を再発行して着服が発覚したという。
ニュースの見出しでは、元役員の着服額は2千万円となっていますが、記事本文を読むと実際の着服額は合計3千万円を超えるようです。
このマンションでは、8年以上の間、預金残高と決算数値の照合すらきちんと行われていなかったものと思われます。
管理組合の定期総会では、過去1年間の会計報告を必ず行うことになっていますが、その際、預金先銀行の発行する残高証明書を添付のうえ 貸借対照表の預金残高と齟齬がないかを確認できるようにしています。
管理会社が会計事務を受託している場合には、決算書の正当性を立証するために必ず実施するはずです。
この管理組合では、どうやらその照合作業を行なってなかったと推測されます。
それは、おそらく「自主管理方式」で運営していたからではないかと考えます。
築年数の古いマンションの中には、
理事長(あるいは会計理事)が毎月の入金確認や滞納があった場合の督促だけでなく、決算書の作成までを行なっているケースも見られます。
ただ、残高証明書を入手するには、預金口座のある銀行すべてに赴く必要があるうえ各銀行ごとに手数料もかかるため、つい省略してしまいがちです。
(預金通帳のコピーがあれば十分、と考える人もいます)
その場合には、残念ながら決算の粉飾計上も容易になってしまいます。
さらに言うと、
役員のなり手不足というありがちな事情から、長期にわたって理事長や会計理事が同じ人物のまま変更がない場合はさらにリスクが高まります。
少しの労を惜しんだり性善説に立って考えることが、致命傷になりかねないことを肝に命じなくてはなりません。
自分の大切な財産がしっかり保全されているか確認するには、
定期総会で決算書を漫然と眺めるのではなく、残高証明書等の必要な証憑も漏れなく添付されているか必ずチェックしましょう。
<参考記事>
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