マンション保険「高騰」のワケと見直しのポイント

先週の朝日新聞に、「マンション保険クライシス」と題した連載記事が掲載されていました。

<参考記事>

www.asahi.com

1.新聞記事の要約

本記事の要約は以下のとおりです。

=====

【1】マンションの保険料、突然の倍増

・築古マンションでの漏水事故急増により、保険料が数倍に跳ね上がるケースが続出。

・保険会社側が「個人賠償責任保険」や「漏水調査費用」の特約を外す条件を提示するなど、事実上の「更新拒否」に近い事態が起きている。

【2】住民はどうすれば 長期契約などの工夫も
・「築年数」で一律に判断するのではなく、管理計画認定の有無、修繕履歴、事故実績などを評価に取り入れる保険商品も登場。

・適切なメンテナンスを行っているマンションは、保険料を抑制できる可能性がある。

【3】火災保険の引受け抑制、損保各社の事情
・損保会社の火災保険部門は、15年連続の赤字。

・「公共性」は意識しつつも、不採算物件の引受けを厳格化せざるを得ない。

・「保険に入れない物件」の発生が現実味を帯びつつある。

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2.保険料が高騰する背景とは?

「更新時に保険料が2倍になった」

「個人賠償責任保険の特約を外された」

 

本記事の内容は決して極端な事例ではなく、

まさに築20年超の高経年マンションの現場で起きている現実です。

 

かつて、マンション保険は

「どの損保でも保険料は概ね同じ」

と言われた時期もありました。

 

しかし、今は違います。

徐々に「売り手市場」になりつつあります。

 

マンション全体の「高齢化」に伴い、

漏水事故等の頻発によって損保各社の採算状況が悪化しているため、

保険会社は、管理状態や保険金の支払実績によって

引き受ける物件を明確に「選別」し始めているのです。

 

しかしながら、顧問先のマンションを含む現場では、
見直し次第で20〜30%程度の保険料削減ができるケースも珍しくありません。

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

つまり、この問題の本質は、保険業界の事情を憂うことではなく、

管理組合が主体性を持って「見直しをしているかどうか」にあります。

 

それでは、管理組合はこのリスクにどう対処すべきか。

現場で私が実践している方法を紹介します。

 

3.すぐに実践できる!保険見直し「4つのポイント」

(1)「管理会社お任せ」のスタンスを止める!

多くの場合、マンション保険は、管理会社を代理店に据えて契約更新の提案や更新の手続きを委ねています。

 

代理店は、保険料収入に応じてその一定割合を収益にして生業を立てています。

そのため、保険料が高い方が「実入り」が大きいのです。

 

そのため、余計な補償や特約が付いているケースがあります。

 

たとえば、高台にあるマンションなのに、

水災補償が付いていたという事例も少なくありません。

 

管理会社以外の「相乗り代理店」を探して、

現在の保険契約の内容に過不足がないかチェックしてもらいましょう。

 

(2)「マンション管理適正化診断サービス」を受ける

上記記事にも紹介されているように、

築年数で一律保険料を決めるのではなく、管理や修繕工事の実施状況や管理組合の運営状況等によってマンションが抱える潜在的リスクを定量的に評価し、引受け保険料を決めるケースが増加しています。

 

その代表例が、日管連の「マンション管理適正化診断サービス」です。

 

「無料」でマンション管理士の診断を受けた後、保険料の見積もりがもらえます。

マンション管理士の診断レポートが提出されるので、今後改善すべき課題などがわかります。

 

ただ、この診断の場合、見積もりの対応ができる損保会社が「日新火災」に限定されるため、代理店契約のないマンション管理会社(大手に多い)には依頼できません。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

自治体の「管理計画認定制度」も有効ではありますが、

認定手続には費用がかかるため、事前に総会決議が必要になります。

 

また、必要な要件を満たさずに認定がなされなかった場合、

保険料も下がらないので、事前にクリアできる可能性を確認する必要があります。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

(3)「年払い」でなく「一括払い」を選択する!

マンション保険の場合、長期5年契約を締結するのが一般的ですが、

時々「年払い」になっているケースを見かけます。

 

これも「代理店との利益相反リスク」の一つだと思います。

 

繰越剰余金が不足している場合は除きますが、

そうでない限り5年分を一括前払いする方が1割以上お得になります。

 

(4)保険会社の「免責額」を設定する!

保険会社の免責(事故1件につき5万円もしくは10万円)を設定すると、

「免責なし」の場合よりも保険料が下がります。

 

ただ、それだけが理由ではありません。

 

2019年以降、マンション保険も保険金の支払い件数に応じて次回更新時の保険料が変わる仕組みが導入されています。

 

そのため、少額の保険金については請求を取り止め、次回引受け時の保険料の増加を抑制する方が得策なケースもあるため、免責額(自己負担分)の設定をお勧めします。

 

4.まとめ

いかがでしょうか。

あなたのマンションで、以下チェック項目に一つでも「No」があれば、

見直しをお勧めします。

•    □ 管理会社以外の相乗り代理店から相見積もりを取っている。

•    □ 「マンション管理適正化診断サービス」を受けている

•    □ 現在の補償範囲や免責事項について理解し、納得している。

•    □ 「マンション管理適正化診断サービス」を受けている
•    □ 「長期一括払い」を選択している。
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<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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