マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
先日、現在「マンション管理見直し隊」のコンサルティング契約をしている都内の管理組合で総会が開催され、管理会社との委託契約の変更が承認されました。
このマンションは築30年超の小規模物件(全9戸)です。
竣工当初から、大手マンション管理会社が受託していますが、管理委託契約書を拝見したところ、このマンションの規模に対して「事務管理費」が非常に高額であることが分かりました。
この事務管理業務とは、
管理費等の出納会計、組合経費の支払い代行、会計収支の調定、年度決算案の作成といった組合経理業務のほか、理事会・総会の運営支援、維持修繕業務の企画立案などの基幹業務を指します。
管理会社が原則として外注せずにインハウス(自社)で行う業務のため、粗利益率が高いとされています。
しかも、組合運営の状況を理事会に確認したところ、
理事会は毎期編成されているものの、理事会は定期的に開催されておらず、
決算理事会と通常総会の2回しかないのが通例となっていることがわかりました。
そのため、特に事務管理費の削減余地が大きいと判断し、理事長名で
管理会社に管理委託契約の見直しと再見積もりを要請しました。
すると、事務管理業務については
「現在と同じ仕様なら事務管理費を21%減額する」との回答がありました。
それに加えて、
「以下のとおり仕様を変更するなら、47%減額する」という提案も受けました。
【仕様変更案】
<現在> <将来>
■ 理事会への出席 無制限 ➡︎ 年4回程度を想定
■ 外観目視点検 毎月実施 ➡︎ 年4回の実施
【オプションメニューの追加】
<現在> <将来>
■ 規約改正案の作成 無償 ➡︎ 85,700円
■ 新細則案の作成 無償 ➡︎ 52,200円
■ 滞納者の居住状況調査 無償 ➡︎ 12,300円
■ 修繕資金借入の書類作成 無償 ➡︎ 12,100円
まず、仕様変更案については、
現在の理事会運営の実情が反映されていますし、外壁や屋上防水等の修繕も計画的に実施されている状況から、毎月頻度で目視点検を実施する必要性は低いと判断できるため、理事会としてこれを受け入れる方針としました。
一方で、オプションメニューの追加については
管理規約や使用細則の作成業務が別途有償になると定額委託費を減額してもらう意味合いが小さくなるため、すべて削除するよう管理会社に再検討を求めました。
その結果、オプションメニューの追加については組合側の要望通り撤回され、
事務管理費は従前比で48%減額してもらえることで決着しました。
そして、他の設備点検費用などの減額を含めて
管理委託費全体で従前比28%(年間 税込90万円)のコストダウンとなりました。
住戸あたりで換算すると、なんと年間10万円の経済効果になります。
なお、当日総会に出席した組合員の方から、
「管理費を値下げして還元してほしい」との要望が挙がりました。
ただ、こちらの管理組合には現在有効な長期修繕計画がありません。
これまでの修繕履歴を反映した新たな修繕計画を作成したうえで、
長期的な資金需要を確認しないと管理費減額が可能か判断がつきかねます。
管理コストの適正化は実現したものの、組合運営の適正化はまだ道半ば・・
引き続き、組合運営をサポートしていきます!
<参考記事>
Copyright © ilodolist All rights reserved.