マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
家庭向け電力の自由化が4月からスタートしましたが、それと呼応するように「マンションの高圧一括受電」についても問い合わせや提案の依頼が今年に入って増えています。
ただ、残念ながら一括受電のしくみを正しく認識されている方は極めて少数です。
たとえば、一括受電の導入が総会決議で承認された後でも、以下のような理由で同意していただけない方もいらっしゃいます。
実際にあった3つの理由をご紹介するとともに、それに対して論理的な反論をしてみます。
高圧一括受電を導入すれば、電気料金単価が大きく下がるため経済的なメリットがあるのは間違いありません。
問題は、そのメリットを区分所有者(個人)、管理組合のどちらで享受するのかということです。
このような主張をされる方は、管理組合で利益をプールする代わりに、個人に対する電気料金を下げて還元すべきだということを言いたいのだと思います。
管理組合で電気料金の差額をプールすれば、繰越剰余金が貯まっていきます。これを将来の修繕資金に活用できるので、間接的ではあってもいずれ区分所有者にそのメリットが還元されるわけです。
ただ、それほど遠くない時期に区分所有権を売却したいなど、長期的な保有を予定していない場合には、積立て方式ではなく直接還元してほしいと考える方もいるでしょう。
つまり、区分所有者への還元方法のあり方への意見の食い違いに起因する問題があると言えます。
しかしながら、高圧一括受電でも専有住戸への料金還元はもちろん可能ですから、その点でもこの主張は誤解です。
異業種企業を含む各社の料金プランを見ていると、電気料金のみだと5%ダウンが関の山と見受けられます。
10%前後安くなるのは、たとえばネット接続サービスなどを合わせる「セット割引」のプランを選択した場合に限られるのではないでしょうか。
実は、電力自由化は2000年からすでに始まっており、電力量全体の約6割は自由化されています。
マンション一括受電も、2005年以降50KWを超える場合には高圧で契約できるようになったことによる恩恵を受けて可能になりました。
今年4月の「自由化」とは、規制の対象から外れていなかった家庭向けなど、残り約4割の部分を対象としたものです。
したがって、「一括受電を導入すると電力自由化の恩恵が受けられなくなる」というのは、そもそも論理的に矛盾しているのです。
また、普通に考えると、各個人が電力会社と料金交渉するよりも100人単位のボリュームを活用して交渉する一括受電の方がより安くなるはずです。
だから、そのために個人としての選択の自由がある程度制限されるのは致し方ないと考えてもらうしかありません。
「両方のいいとこ取り」は、できない相談なのです。
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