マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
昨年(平成28年)4月に、電力小売りが完全に自由化されました。
ガス会社、通信会社、管理会社など異業種から数多くの参入があり、市場規模も携帯電話とほぼ同じ7兆円超と言われ、相当の経済効果があるものと期待されていました。
……が、その後の状況はどうなったのでしょうか?
資源エネルギー庁が今年の7月に発表した資料によると、新電力への契約先の切り替え(スイッチング)が行われた割合は、今年3月末時点で4.7%(全国平均)に過ぎません。
その内訳をみると地域差があり、たとえば大都市圏では 東京:7.1%、関西:6.1%と全国平均に比べると高めではありますが、しょせん一桁台にとどまっていることに変わりはなく、全体の9割以上の世帯は切り替えはしていないことが分かりました。
スイッチングが進まない主な原因は、新電力と地域電力会社との電気単価の差が4%程度と低いからでしょう。
既存の受電契約の解約手続きの煩雑さを考えると、この程度の価格差では利用者側のモチベーションが上がりません。
また、地域電力会社の基本プラン以外で節約できるプランを利用している場合には、スイッチングによって逆に料金が上昇してしまうケースもあります。
ただ、この電力小売りの自由化は、マンションの一括受電のニーズを冷やすには大きな効果があったことを痛感します。
それは、自由化前に比べて一括受電のコスト・パフォーマンスが相対的に悪化したからです。
一括受電サービス業者の提案条件は、「共用部の電気料金の40%削減」が一般的です。
ただ、これを専有部住戸への還元に換算すると、8%程度にしかなりません(∵専有部の電気使用量は、共用部の約5倍あるのが一般的です)。
各世帯で数ある新電力の中から好きに選んでも4~5%のコスト削減ができるなら、さらに3~4%(月額:数百円)の料金差のために、わざわざ一括受電を選択して全戸同意を取り付ける手間をかけるだろうか? ということになるわけです。
ましてや、(割合はまだ少ないとはいえ、)すでに新電力にスイッチした世帯がマンション内に1戸でもあれば、すでに実現したコスト削減メリットとの差や中途解約の制約などがネックになり、一括受電の導入に難色を示す可能性はかなり高くなったと考えられます。
こうした事情から、既築のマンションでの一括受電の導入は極めて難しくなったと思います。
おそらく、今後は新築マンションで初めから一括受電業サービスがビルトインされるケースにとどまるでしょう。
既存のサービス業者の経営戦略上も、新築マンションを供給できるデベロッパーとの提携が生き残りの必須条件になってきますね。
<参考記事>
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