分譲マンションの管理状況の評価制度は、どんな仕組みになるのか?

国交省が分譲マンションの管理状況を公的に調査し、その結果をもとに評価・認定する仕組みを構築するという構想については、先日このブログでも取り上げました。

 

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

本構想に関する現状の進捗状況については、マンション管理業協会(マンション管理会社の所管団体)のホームページで公開されている情報でおおむね把握することができます。

 

マンション管理業協会が業界の各団体に呼びかけによって参加した各委員、ならびに国交省や東京都から参加したオブザーバーで構成される「マンション管理適正評価研究会」が昨年発足し、下記3つの項目をテーマに検討を行っていました。

(1)管理に係る情報開示の必要性

(2)管理の質が市場価格・取引価格に反映される必要性

(3)適正な管理の基準

 

本研究会は昨年9月以降計4回開催され、その内容を取りまとめた「中間報告書」が去る1月24日に公表されるとともに、パブリック・コメントの募集を行っていました。(2月7日をもって終了しています。)

本研究会の報告書を要約すると、以下の通りになります。

■ マンション購入者の永住志向は年々高まっていることから、長期的なマンションの維持管理の重要性が高まること、及び修繕積立金の状況や居住者の高齢化等を踏まえると早急に適正な管理を促進する対策を検討する必要がある。

■ 高経年マンションストックの増加、ならびに区分所有者(居住者)の高齢化が今後予想される中、マンション再建・再生のための区分所有者の合意形成が難しくなることが想定される。

■ しかしながら、現状ではマンション購入者の意識は、立地や間取りに向きがちで、共用部分の維持管理状況に対する意識は低い

■修繕積立金については、築浅のマンションほど段階増額積立方式となっている割合が高く、さらに消費税増税の影響を受けて資金不足を懸念する管理組合が45%に達している。その結果、今後工事の延期(見送り)、あるいは工事範囲の縮小等で適正な修繕が実施できないリスクがある。

■ 現状、マンションの購入者は、物件探しの際の条件として立地や間取り、築年数のような情報を重視し、管理に関する情報は契約直前の重要事項説明の時に明らかにされるのが通例である。そのため 購入検討の早い段階から、対象物件の管理面における納得性とリセールバリューなど将来予測を検討する時間が必要である。

■  こうした要請に応えるために、マンションの管理情報をのうち基礎的な情報を「一般情報」、ペット飼育の可否や民泊の可否等人により評価が変わる情報を「客観情報」管理組合の財政状況といった管理状態の数値評価を行う「等級評価」に分類したうえで、登録・開示することが消費者保護の観点から必要である。

 

■ 現在の区分所有者にも、管理状況の評価が開示されることで管理の質が市場価格に反映されれば、リセールバリューが生まれたり、リバースモーゲージの際に、必要な資金を有利に調達できる。

 

■ また、管理状況を客観的、等級評価で示すことは、購入予定者の物件の選別に役立つだけでなく、管理組合にとっても管理面の強みや弱みが明らかになり、相対的に劣る部分について向上させようとする活動に繋がることが期待できる。

今回の中間報告書で管理組合にとって最も重要なことは、「マンションの管理状況の優劣が定量的に評価される」という点でしょう。

 

本報告書によると、等級評価される対象項目として以下の項目が挙がっています。

・管理者等の設置状況

・通常総会の開催時期と決算月

・管理規約原本の有無と現に有効な規約

・総会議事録の有無

・設備点検(法定点検を含む)業務の実施状況

・管理組合の財務諸表(管理費・修繕積立金の会計収支・純資産額)

・管理費等の滞納状況

・借入金の有無

・長期修繕計画の有無

・共用部の修繕工事の実施履歴

・建物の耐震性

・緊急対応、防災備品の備蓄、消防訓練の実施、防災対策の有無

 

これらを見る限り、日管連で実施している「マンション管理適正化診断サービス」で、A以上の評価を受けたマンションならばクリアできるでしょう

 

なお、この構想を具体的な制度として実現し、健全かつ継続的に運用可能なレベルにするためには、以下のように細部にわたって検討が必要な項目があると思います。

(1)評価主体の問題

誰が客観的に評価するのか?

マンション管理士などの専門家、もしくは自治体?

 

(2)情報の更新頻度

定期的な更新が必要なのは確かだが、何年ごとが妥当か?

 

(3)情報公開の仕組み

公的な機関によるものか、民間的な機関や媒体を通じたものか?

 

(4)インセンティブの付与

一定以上の評価を受けたマンションへの優遇措置の検討

 

(5)矯正のための制度検討

管理不全化の抑止を目的に、低評価の物件に対する外部による矯正促進策の検討

 

本件については、今後も引き続きモニタリングしていきたいと思います。

 

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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