マンション管理計画認定制度「国が笛を吹けども現場は踊らず」!?

12月27日付けの朝日新聞に、「マンション管理の新制度、自治体の準備進まず 減税策で不公平感も」と題した記事が掲載されていました。

digital.asahi.com本記事の要約は以下の通りです。

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■ マンションの管理が適切かどうかを認定する「管理計画認定制度」。今年4月にスタートしたものの、自治体の受付の開設が進んでおらず、国の調査によると来年度以降にずれ込む自治体が全体の5割あるとのこと。

■ この制度では、修繕積立金や長期修繕計画など、適切な管理のために基準17項目を審査し、地方自治体が管理組合を「認定」する。一方、基準に満たない場合は助言や指導をし、さらなる改善を勧告することができる。

■ 課題の一つが、どのくらいの管理組合が参加するかだ。 だが、国の調査(6月時点)によると、都道府県や市区町村282のうち、実際に受け付けを始めているのはその2割にも満たない

■ 認定制度を始めるには、各自治体がマンション管理の適正化推進のための計画を作成することが前提になる。しかし、すでに作成している、あるいは今年度中に作成する予定としている自治体は全体の5割にとどまっている。 しかも、計画の作成時期について「24年度以降」の予定と回答した自治体が全体の26%を占めている。

■ さらに計画作成後、申請受付開始までの準備時間も必要で、半年ほどかかる場合もあるという。

■ 国交省の担当者は、マンションの数が多い自治体では計画作成が進み、戸数ベースでは23年度末時点で約83%に達することから、「順調に進んでいると考えている」という認識だという。

■ 一方、認定を受けたマンションに対する優遇措置が、以下の通り既に動き出している。

(1)住宅金融支援機構による住宅ローンの金利を引き下げ

(2)固定資産税の減税措置

■ (2)については、2023年度の政府税制改正大綱に措置されたもの。23年度~24年度に大規模修繕工事が完了した場合、建物部分について翌年度分の固定資産税を減額する。

■ 減税のようなメリットがあれば、認定を受けようとする管理組合も増えるが、自治体の窓口開設が遅れ、減税される期間に申請が間に合わないマンションも出てくると、不公平感が出る。

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本記事で紹介されている減税措置とは、12月23日に閣議決定された「令和5年度税制改正大綱」において、「マンション長寿命化促進税制」の創設が盛り込まれたことを指しています。

<参考記事>

www.mlit.go.jp本制度の概要は以下の通りです。

【改正の概要】
1)管理計画の認定を受けたマンション等において、長寿命化工事(屋上防水工事、床防水工事、外壁塗装等工事)が実施された場合に、その翌年度に課される建物部分の固定資産税額が減額される。

2)減額割合は、1/6~1/2の範囲内(参酌基準:1/3)で市町村の条例で定める。

【対象となるマンション】
○ 築後20年以上が経過している10戸以上のマンション
○ 長寿命化工事を過去に1回以上適切に実施している
○ 長寿命化工事の実施に必要な積立金を確保している

【対象工事】
○ 2023年4月1日から2025年3月31日までの間に完了した長寿命化工事

<本特例の創設は今後の税法の成立が前提となっていること、また、今後細部を詰める必要もあるため、あくまで速報としてご認識してください。>

 

しかしながら、この減税特例措置が正式にスタートしたとしても、管理計画の認定を受けることが前提条件になるなら、認定申請の受付の準備が整っていない地域にあるマンションはこの制度を活用できずに割を食ってしまう可能性があることになります。

せっかく創った制度の実効性を上げるためにも、国は地方行政との連携をしっかりやってもらいたいものです。

<参考記事>

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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