携帯基地局の設置は、マンション管理組合の副収入として有難い!

ネットマガジンの「日刊 住まい」で、先日マンションに関する興味深い記事を見つけました。

 

sumaiweb.jp

本記事は、都内にある築古の賃貸マンションのオーナーさんが、日常の運営管理に関する自身の体験談を連載しているブログです。

 

漏水問題や修繕工事への対応といった、分譲マンションでも起こりうる事象について良い意味で「素人目線」で説明されていて、管理組合にとっても役立つ記事だと思います。

 

さて、今回取り上げる記事ですが、その要約は以下の通りです。

・ある日電話で「御宅のマンションの屋上に携帯基地局のアンテナを建てさせてもらえないか」という営業を受けた。

・営業の担当者と面会したところ、「通信会社は携帯電話の電波を安定的に供給するため、拠点となる基地局を建てる場所を探している」とのこと。

・営業担当者の説明は以下の通りだった。

「携帯基地局はある程度の重量があるうえ高さも必要なので、ふつうの木造の個人宅の上には建てられない」

「分譲マンションはだいたいの場合、電磁波が出るというだけで警戒される方も多く、総会で否決されてしまう」

「賃貸マンションはワンオーナーなので決断が早いので、積極的に営業している」

「お住まいのエリアの家賃相場を基準に、屋上にお借りする面積に比例した金額を支払う」

 

・なお、設備のメンテナンスは通信会社が責任をもって行ううえ、アンテナに使用する電気代も負担するとのこと。

 

設置にかかるスペース代は年間30万円ほど、不労所得としてはかなりありがたい副収入になる

 

・ただし、基地局は200キロ程度の重量があり、屋上に設置した場合はそれなりの荷重がかかることが心配だと伝えると、「通信会社にて事前に検査して、建物の構造負荷を超える可能性がある場合は辞退させてもらう」との説明があった。

 

・その後、検査結果として「構造検討書」を受け取り建物に対する構造的な負荷については問題がないことを確認。安全面での見通しも立ったので設置に向けて動き、工事開始から1か月ほどで設置工事が完了した。

 

・現在も何事もなく稼働しており、設置前と後で何ひとつ変化はない。また、メンテナンスも年1回なのでこちらの手間もかからない。

 

・この話を聞いて「うちも設置したい」と思うかもしれないが、残念ながら携帯基地局の設置はオーナーの側から売り込むということはできない模様。あくまで通信会社が独自に検討した基準を満たす箇所に設置の提案をするとのこと。

 

実は、今年の話ですが、私が関わっている都内の投資用マンションでも本記事と同じような経緯で基地局を設置しましたので、その経験談をご紹介しましょう。

 

まず、事前に対象エリアや周辺環境、設置したい建物の構造・階数・規模などの要素を考慮してターゲットとなる物件候補を通信会社がセレクトします。

 

設置対象としては、タワーマンションのような超高層タイプはNGで、10階建前後の敷地の広いマンションの方が好まれます。

 

また、通信電波の送受信を円滑に行うために、小高い丘陵地が適しています。

 

そして、通信会社の「代理」と称する「専門の営業会社」が窓口になって説明や条件交渉、事前調査、設置工事などを行います。

 

まずは、理事会で概要について説明を受け、前向きに進める場合、本記事の通り建物の構造に問題がないか検査を実施させてほしいとの申し出を受けます。

 

構造的に問題がないことを確認できると、いよいよ条件交渉に入り、総会決議を経てはじめて契約締結が可能になります。

 

以下、その手順をご紹介します。

 

(1)基地局の設置場所と箇所数の確認

屋上部に設置しますが、具体的にどこに何台設置するのかを確認します。

 

屋上の防水床に直接設置するよりも、ペントハウス(エレベーター機械室)やパラペット(笠木部分)にアンテナを設置してもらう方が漏水リスクが少なくなるため安心でしょう。

 

<基地局設置後のイメージ>

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また、電気室からの配線について、外壁面に這わせるなど露出するパターンが一般的かと思いますので、美観上問題がないかチェックが必要です

 

なお、通信会社が負担すべきアンテナの電気量を個別に計測できるよう、メーターは別途設置してもらいましょう。

 

(2)賃料条件の交渉

通信会社が支払ってくれる賃料ですが、基本的に「屋上に設備を設置する際に占有する面積に応じて設定する」との説明がなされると思います。

 

そのうえで、本マンションの場合には当初「周辺の駐車場料金相場でどうか」との打診がありました。

 

ただ、向こうから申し出を受けている立場としては、原則としてこちらが「強気」の姿勢に出ても問題はありません。

 

そのため、このマンションの場合には、「基地局の設置料金は駐車場の周辺相場と何ら関係性はないはずで、あくまで需給関係によって決めるべきだと思う。本気で基地局を設置したいならその意欲を条件で示すよう再検討してほしい」とネゴを行いました。

 

その結果、設置料金については当初の提示額からかなり上げてもらうことに成功しました。

 

(3)契約条項の確認

通信会社と締結する、基地局設置許諾契約の条文についてチェックしたところ、先方の損害賠償責任について明確にするために、以下の条文を追加してもらいました。

<通信会社>は、本設備にかかわる機器、設備の破損または落下等により、許諾者及び本物件の居住者、通行人を含む第三者並びに本物件に損害を与えた場合、相当因果関係の範囲内の損害を賠償するものとする。

 

万が一、暴風などによってアンテナの落下・破損等に伴い、第三者やその所有する財物に損害を与えた場合でも、管理組合は一切責任を負わず、通信会社が負担することを明記してもらいました。

 

(4)住民説明会の開催

総会に上程する前に、住民向けの説明会を開催しました。

 

本記事にもあるように、電磁波による健康リスクや設備破損時等のリスクへの対応などについて不安を感じる住民が出ることは避けられないからです。

 

事前の説明会の開催は必須条件と考えた方が良いでしょう。

 

(5)臨時総会の開催

屋上に第三者の所有する設備を設置するわけですから、「共用部分の大きな変更」として総会決議はもちろんのこと、「特別決議事項」に該当すると思います。

 

なお、特別決議事項については「区分所有者全体」の4分の3以上の賛成が必要となりますからご留意ください。(当日の出席者数が母数ではありません!)

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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