マンション管理費の長期滞納問題、知っておくべき解決方法と事前の対策
2024/07/05
先日、コンサル先の管理組合で「マンション管理適正化診断サービス」を実施しました。
残念ながら、その結果は・・・
「17点」で、最低ランクの「B」評価となってしまいました。
築40年を超える高経年のマンションなので、最高の「S」評価を獲得するのは極めて難しいのですが、普通にやるべきことをやっていれば余裕で「A」評価は獲れるはずです。
今回の診断では、いくつかの大きな問題点が浮かび上がってきました。
診断時点で、すでに10ヶ月以上の滞納者が1名いますが、まったく回収のめどが立っていませんでした。
滞納者への支払い意思の確認や内容証明便の送付はもちろん、少額訴訟等の法的措置にも着手していませんでした。
長期修繕計画は10年前に作成されたまま、その後更新がなされていませんでした。
また、このマンションで25年間で必要とされる修繕資金を
(専有面積あたりの)月額平均単価に換算すると、@124円/㎡ でした。
これは、国交省のガイドライン(同 @165円/㎡以上)と比べても少なすぎます。
資料を精査してみると、
その理由は、設備にかかる修繕費の計上漏れによるものであることがわかりました。
特に、給排水管の更新については竣工以来未実施のうえ、計画にも実施予定時期や概算予算が一切計上されていませんでした。
照明や消防などのその他の設備についても、計画期間中ほとんど費用の計上がされていませんでした。
昨年実施した消防設備点検ならびに特定建築物定期調査では、以下のような指摘事項が各報告書に記載されていますが、その後も修繕等の対応が一切なされていないことがわかりました。
・避難器具未設置
・非常用バッテリー不良
・自動火災報知器受信機の不良および一部断線
ちなみに、
このマンションでは「建築設備定期検査」の実施義務もあるのですが、これまで一度も実施すらされていませんでした。
約10年前には実施された模様ですが、当時の工事完了報告書が見当たらず、正確な実施時期や工事内容、保証条件を確認することができませんでした。
ここまでの酷い状況を見て、
皆さんは「このマンションは自主管理なのではないか?」と思われた方もいらっしゃるでしょう。
いえいえ、実は「全部委託」なのです!
ビックリでしょう!
しかも、診断の際に、管理会社の担当者に問い合わせをしたのですが
メールではほとんど返信がなく、電話かショートメールのみ。
大規模修繕工事の完了報告書を閲覧したいと申し出たところ、
「報告書は保管していない」ということで、
工事前の見積書・仕様書が送られてきました・・・(泣)
これが一体何の役に立つというのでしょうか??
結局診断項目をすべて確認し終えるのに、
2週間以上もかかってしまいました。
こんな状態では、管理委託費がたとえ適正な水準であっても
管理会社に委託している意味自体がまったくありません。
ただ、とても幸いなことに、これまで必要な修繕を実施していなかったせいか、
このマンションの剰余金残高は潤沢であることがわかりました。
この管理会社の場合、単純に仕事をしていなかっただけで、
どうやら「悪徳会社」ではなかったようです。
今後どの程度の期間をかけてまともな状態に再生できるか、
理事さんと協力しながらトライしたいと思います。
<参考記事>
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