マンション管理会社のPRポイントの見分け方

先日、管理会社のリプレイスを検討中のマンション管理組合で、管理会社3社によるプレゼン会が行われました。

プレゼン時間は、各社30分間。その後は質疑応答で15分間。

各社には事前にお願いして、受託した場合はその組合を担当してくれるフロント候補者にも陪席してもらいました。

管理委託費の見積金額は事前に提出してもらっていましたが、3社のうち2社は当方要望額をほぼクリア。

しかし、残りの1社は現状とあまり変わらない金額で、事実上「選外」となってしまいました。

 

この最も高い金額で見積もった管理会社(※A社と呼ぶことにします。)には、プレゼンの面でも他社と違う「特徴」が見られました。

◆ プレゼンの同行人員

他の2社は、営業担当2名とフロント候補者1名の計3名でした。

でも、A社は5名でやってきました…。

支店長以下、営業課長、営業課長代理、営業嘱託の4名に、フロント候補者。

プレゼンは、営業課長と担当者で分担して行い、(着席して説明するようお願いしたにもかかわらず)ずっと立ちっぱなしで身振り手振りを交えて熱弁を振るっていました。

でも、残り3人中2人はほぼ発言の機会なし…。

そんなに人員を動員するから、コストがかかるのではないのでしょうか?

◆ PR内容に対する違和感

特徴的だったのは、A社からのアピールポイントの説明です。

その一部をご紹介します。

一見良さそうなのですが、よく考えてみると「だから何?」と思ってしまいます。

1)受託実績が豊富です!

A社の場合、全体の7割が親会社の分譲物件もしくは同業他社のM&Aによるもの。

つまり、自力での営業実績は全体の3割しかないことに留意が必要なのです。

2)長期修繕計画は毎年更新します!

果たしてそんなに頻繁に見直す必要があるのでしょうか?

管理組合のベネフィットがよくわかりません。

3)緊急コールセンターは自社開発の設備監視システムで対応してます!

設備監視システムまで自社で所有する必要性はあるのでしょうか?

警備専門会社とうまく連携すれば特に問題はないように思います。

これもコスト高の要因になっていないのでしょうか…?

4)フロント担当者の女性比率が高い!(候補者も女性)

男性よりも女性向きの職種と考えているのでしょうか?

これまで特にそう思ったことはないですが…。

5)管理の品質とは「人材」で決まる!当社は人材がウリです!

それはその通り。

ただ、一般論で言われても、A社の人材のどこが優れているかは伝わってきません。

顧客(管理組合)へのアピールで効果的なのは、裏付けのないイメージの訴求よりもファクト(事実)の方です。

特に、以下の4つが重要だと思います。

#1 見積金額が妥当か?

過剰な仕様を設けるよりも、まずは合理性・妥当性のあるコストで勝負すべきです。

#2 近傍での受託実績(特に外部受注)は豊富か?

新規顧客がもっとも安心するデータです。

#3 所轄の支店・営業所が物件に近いか?

「万が一」、「緊急時」への対応に不安がないかを気にする組合役員は多いです。

#4 フロント担当候補者の印象はどうか?

これが最も難題です。

同じ会社でも、フロント担当者の良しあしで雲泥の差が出るのが現実です。

いくら教育研修しようとも属人的な差があるのは否めません。

もちろん、少々の面接だけでは人間の本質まではわかりませんが、事前に「面通し」がないよりはマシでしょう。

 


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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