「マンション価格上昇中!」ホントのところはどうなの?

2015年あたりから新築、中古ともマンション価格の上昇が目立つようになっています。その主な要因は建築費の上昇。とくに東日本大震災後の復興需要や東京五輪に向けた工事などによる人手不足のために人件費が大幅にアップし、建築費の高騰を招いているのです。

一戸建て住宅に比べてマンションは原価に占める「建物価格」の割合が高いため、建築費の上昇による影響が大きくなりがちです。そのため、まずは新築マンションの販売価格が上昇し、それと連動するように中古マンションの価格相場も上がっています。

これからマンションを買う人も、売る人も、価格の動きは気になるところ。そこで今回はいくつかの調査データをもとに最近の動向を確認しておくことにしましょう。

 

新築、中古ともマンション価格は上昇傾向が顕著に

民間の不動産経済研究所による調査では、新築マンションの東京都区部における2015年の平均単価は前年比13.0%上昇。2016年上半期も前年同期比10.3%上昇しています。大阪市も2016年上半期は10.3%の上昇でした。首都圏や近畿圏の他のエリアでも濃淡の差こそあれ、マンション価格の上昇傾向が表れていることに変わりはありません。

しかし、首都圏の新築マンション供給戸数はピーク時の約3分の1、近畿圏はピーク時の約半分に減っていることに注意が必要です。供給戸数が絞られ、都心部や主要駅に近いエリアの比率が増すことによって、平均価格が上昇している側面もあるのです。

そこで、国土交通省がまとめている「不動産価格指数」を確認してみましょう。マンションについては主に「中古区分所有建物」の取引を対象にしていますが、物件の立地や特性による価格への影響を除去して指数化していますから、エリアの偏りなどは考える必要がありません。

2016年7月のマンション価格指数(2010年平均=100)は全国平均で128.9となり、前年同月比ではプラス6.3ポイントでした。2013年1月は100を少し上回る程度でしたから、この2年半で25%あまり上昇していることになります。

ちなみに2016年7月の住宅地価格指数は96.8、戸建住宅価格指数は99.0で、2010年頃と比べてほとんど変わっていません。住宅地や戸建住宅は郊外エリアや地方都市の物件も比較的多く含まれるため、都市部が中心のマンションとは値動きが異なる側面もあるのです。それでも、マンションだけが突出して値上がりしている印象は否めないでしょう。

 

マンション価格の上昇は大都市圏だけではない

マンション相場の値上がりは「東京や大阪が際立っている」と考えている人が多いかもしれません。しかし、マンション価格指数(2016年7月)をみると東京都が131.0、大阪府が131.3なのに対して、北海道地方は150.7、東北地方は174.2、九州・沖縄地方は157.8などとなっています。

【マンション価格指数(2016年7月)】
□ 北海道地方 150.7
□ 東北地方 174.2
□ 関東地方 124.8
□ 中部地方 127.5
□ 近畿地方 131.3
□ 九州・沖縄地方 157.8
(北陸・中国・四国地方はサンプル数が少なく、参考値にとどめられている)

東北地方の値上がりが大きいのは、東日本大震災による復興需要の影響もあるようです。また、地方圏ではもともとの価格水準が低いために建築費高騰の影響を大きく受けやすいほか、新規供給が絞られて品薄になり、比較的良質な中古マンションの需要が高まっていることも考えられるでしょう。

 

マンションを売るときには意識しておきたい「ホントの価格」

中古マンションの価格相場が上昇していることで、これから売却しようとする人にとっては好機といえるかもしれません。しかし、売出価格と成約価格の乖離には注意が必要です。

東日本レインズ(公益財団法人東日本不動産流通機構)のまとめによれば、東京都における2016年10月の平米単価は売出価格が72.89万円、成約価格が63.89万円で14%もの開きがあります。売出した価格のままではなかなか売れないということでしょう。

これは東京都で顕著にみられる傾向で、同じ首都圏でも他県ではあまり乖離はありません。

東京都では中古マンション市場で競合する物件数が多いことも一因でしょうが、相場上昇を受けて強気の価格設定をする、なかなか売れずに値引き交渉に応じる、他の物件の状況をみて「値引き」を織り込んだ売出価格の設定をする、売る方も買う方も値引きを前提とした契約交渉をする、といったことが常態化していると考えられます。

まわりのマンションの広告などをみて「自分の部屋もこれくらいで売れそう」と希望的観測を抱くこともあるでしょうが、いざ売ろうとするときには「実際に売れる価格はどれくらいなのか」について、不動産会社からしっかり説明を受けることが欠かせません。

 


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平野 雅之

平野 雅之

不動産コンサルタント会社リックスブレイン代表・宅地建物取引士・公認不動産コンサルティングマスター。東京・神奈川を中心に20年以上にわたり不動産売買取引の仲介業務に従事。豊富な実務経験をもとに、現実に即した実践的なアドバイスなどを一般消費者向けに提供しています。総合情報サイトAll Aboutで「不動産売買」のガイドを務めるほか、HOME’S、Yahoo!不動産など数多くのメディアで情報を発信。不動産購入、売却などに関するセミナー講師も担当しています。

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