マンション管理組合の「役員報酬」と「組合活動協力金」の相場はどれくらい?

管理組合の「役員報酬」と、外部区分所有者による「組合活動協力金」の実態について、マンション管理大手「大和ライフネクスト」の系列会社(マンションみらい価値研究所)が調査結果をまとめたレポートをリリースしました。

 

レポートの要約は以下の通りです。

■組合の役員報酬制度や外部所有者からの協力金徴収制度から、マンション管理組合が抱える問題の数々が浮き彫りとなった。

■大和ライフネクストが受託する管理組合(3,900)のうち、役員報酬制度がある管理組合は9%。管理組合活動に直接的に協力できない外部区分所有者から、協力金を募る管理組合は6%であった。

■築年数別の割合でみると、高経年マンションほど役員報酬・外部区分所有者協力金を設定している管理組合がともに増加する傾向が見られる。

■役員報酬制度については、総戸数が多いほど、導入する割合も高くなっている。これは、戸数に比例して検討課題は増え、その内容も複雑化することで役員の責任と拘束時間が増すためと推察される。

■また、規模が大きいと、輪番制を導入しても組合員全員が役員経験するまでに相当な周期が必要となることから、その不平等感の解消にも資すると思われる。

■報酬の支払いについては、理事長・副理事長・その他の順で段階的に金額設定している組合が多い。また、理事会・総会の出席回数に応じて報酬を設定している例も見られる。

■「役員一律の報酬」を設定している場合の報酬水準は、「固定給タイプ」の平均額は、12,130円/年(1,011円/月)

■「役員一律でない報酬」を設定している場合の水準は、「固定給タイプ」の平均額は、理事長39,247円/年(3,271円/月)副理事長18,688円/年(1,557円/月)、理事14,513円/年(1,209円/月)、監事15,963円/年(1,330円/月)であった。

■一方、外部所有者からの活動協力金の徴収については、物件規模による傾向は特に見られない。ただ、高経年物件で比較的多くみられる。(築20年以上が約7割を占めている)また、外部所有者の割合が相対的に高いケースで導入する割合も多い

■なお、協力金徴収の対象は外部所有者とする割合が約7割と最も多いが、内部所有者でも役員を辞退する者(30%)、役員に就任しても一定数の理事会に参加しない役員には協力金を求める規定(1%)もある。役員に就任しないことへの不公平感は外部所有者だけではないと言える。

■協力金の徴収方法は組合ごとに様々であるが、月額換算で1,000円から2,000円の範囲が半数以上を占めている。

 

管理組合にとって、

「役員報酬」と「組合活動協力金」はコインの表裏のような関係にあります。

 

理事長をはじめ、組合役員に就任することはなるべく忌避したい「義務」として捉えられているため、その負荷が一部に偏らないように「輪番制」を採用している管理組合が多いと思います。

 

ただ、多くのマンションの管理規約では役員就任に「現に居住要件」が定められているため、外部所有者は自動的に役員候補から除外されます。

 

外部所有者の割合が高くなるほど、残りの「現に居住する所有者」の中で輪番制を運用せざるを得なくなり、役員に就任する周期が短くなっていきます。

 

そうなると、居住する所有者と外部所有者との間で、役員業務の「負荷」(定例会議に参加するための拘束時間や事務手間、精神的負担など、民法上の善管注意義務など)に大きな差が生じることになります。

 

そのため、こうした不公平感の緩和のために、役員の労苦に報いるための報酬制度や、役員就任の義務から解放される見返りとしての活動協力金徴収制度の提起がなされるわけです。

 

ただ、私が顧問を務めるマンションでは、役員報酬制度を導入している組合は一部ありますが、活動協力金を徴収している組合はありません。

 

それは、「協力金徴収」の基準を明確には決めづらいからです。

 

役員就任義務を回避しているのは、外部所有者だけとは限りません。

 

たとえば、居住する所有者の中でも、実態として以下のようなケースを原因とした不公平感も生じています。

・役員就任の依頼があっても(高齢や疾病、多忙を理由に)固辞する

・たとえ役員に選任されても、その後理事会や総会等の活動に一切参加しない

 

また、一口に「外部所有者」と言っても、(投資等が目的ではなく)転勤など一時的な事情によるケースもあります。

 

つまり、個人情報保護の問題もあいまって、協力金を徴収すべきかどうかの判断に際しては個別事情に応じた見極めがとても難しいのです。

 

輪番制の運用だけでは、上述の事情から理事会の成立や運営に支障が生じかねないリスクがあるのは確かです。

 

そのため顧問先の組合でも、以下のような工夫をしているマンションがあります。

・(2年任期制のもとでの)役員の半数改選制の導入

・輪番制に加えて立候補枠も設定している

・ 現役員の一部(理事長など)に来期再任を要請する。

 

結局のところ、「ウルトラC」的な妙案は今のところなく、

そのマンションや住人の特性等に応じて試行錯誤していくしかないと思います。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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