マンション修繕積立金の増額幅を大幅に圧縮できたワケ
2025/01/06
先日、京都でコンサルティング中の管理組合で臨時総会が開催され、管理会社のリプレイスが反対票もなく無事承認されました。
新築以来、20年間の長きにわたってこのマンションの管理を受託していた大手デベ系管理会社の「搾取」の終焉が決まった瞬間でした。
現状の委託費に対して3割超のコスト削減が十分可能との査定診断をもとに目標を定め、8月から現管理会社との交渉を開始していましたが、2割強の減額提示にとどまっていました。
また、これまでの法令法違反を含む業務怠慢などへの不満もあって、秋以降は他社へのリプレイスに方針を転換し、理事会を中心に検討を進めることになりました。
その後、候補先3社からの相見積りの取得、各社からのプレゼン会の実施を経て理事会で1社に絞り込み、今回の総会決議に至ったというわけです。
■ 管理会社による「搾取」の実態はいかほどか?
今回、管理委託費がどのように変動したかをご紹介すると、
管理委託費全体としては現状比42%の削減となりました。
30戸のマンションですが、年間約210万円のコストが削減できました。
1戸当たりに換算すると、年間7万円の経済効果となります。
ただ、管理業務のすべてが一律に下がっているのかと言えば、決してそうではありません。
■ 業務の費用項目によって異なる削減率
管理委託費は、管理員・清業務、設備保守点検業務、事務管理、管理会社経費等で構成されていますが、下記のグラフに示すように各々の削減率はかなり違います。
(※ちなみに、管理員の勤務時間や設備保守点検の頻度などの仕様は従前と変わりません。)
最も削減率が高かったのは、管理会社の経費(いわゆる一般管理費)で削減率は100%となっています。
つまり、新たな管理会社ではこの経費自体がなくなったということです。
もともと、管理員や清掃業務などの各業務項目においても、管理会社はいわゆる「元請け」の立場で一定のマージンを上乗せしているのが一般的です。
にもかかわらず、さらに「一般管理費」などと称して別途報酬を請求するのはいわば「二重搾取」と言っても過言ではないでしょう。
これに次いで大きいのが、事務管理費(63%)、廃棄物処理費(59%)となっています。
ここで補足しておくと、この地域では民間業者による一般廃棄物処理が広く行われており、この管理組合は管理会社の「協力業者」に新築以来一貫して委託していました。
そして、こちらの業務も他の業者から改めて見積もりを取得したところ、苦もなく半額以下になったというわけです。
これが、分譲マンションの管理における「隠れた搾取の実態」です。
■ 管理見直し成功の秘訣は、管理組合の主体性と団結力
ただ、今回管理の見直しが成功した真の要因は、当社のコンサルティングによるものではないと考えています。
やはり何と言っても、執行機関である理事会内の団結力が強かったこと、また一般組合員への広報も丁寧に行ってきたことで、思いのほか組合内の合意形成がスムーズに進んだことではないかと思います。
これまでコンサルを引き受けた他のマンションの中には、理事会の主体性が欠如していて、どこかいつも他人事のような目線で自らが責任を取ろうとしないタイプも見られます。
そういう管理組合は、必ず途中で試みが頓挫しています。
このマンションでは、管理会社の怠慢に気付いたことで問題意識に目覚め、結束力が高まるとともに主体性を取り戻したことが功を奏したと思われます。
目下のところ、この管理組合ではヴィンテージマンションとして長く資産価値を保つためのリノベーション工事を計画中で、今回のコスト削減で得られる余剰資金をそのプランに有効活用できる見通しとなりました。
今後も新たな課題に向かって進んでいく管理組合の力になれれば、こちらもコンサルタント冥利に尽きるというものです。
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