マンション住民同士の挨拶禁止に賛否両論があるワケ

マンション内の挨拶禁止をルール化した管理組合に関する話の続きです。

新聞への投稿がツイッター上で「これが日本の最先端の近所付き合いです」と紹介されたことで、しばらくの間ネットでざわつくことになりました。

かく言う私もその一人で、挨拶の禁止 ⇒ 世知辛い世の中という図式のもと、本ブログである種の嘆きに近い意見を述べました。

【参考記事】

実際、SNSにおいても、挨拶自体にコミュニケーションを促したり、一定の防犯効果をもたらすといった「効用」を理由に、挨拶を禁止することに違和感を表明する感想や意見が多く見られたのは確かです。

 

しかし、一方で子どもを持つ親御さんなどから、挨拶することさえ昨今は犯罪に巻き込まれるきっかけにもなりうると懸念する声もあることが分かりました。

この背景には、都市化に伴うマンションの増加と、それに伴う近所付き合いの減少があると思います。

また、個人情報保護重視の風潮とも相まって、同じ分譲マンション内でも近所はおろか、隣りの住人の家族構成さえ分からないし、むしろそれを当然と考えて関心すらもたなくなっているのが実情ではないでしょうか。

 

問題なのは、こうした昨今の事情に乗じて何らかの悪意をもつ外部の人間が、マンション内に潜入することが十分あり得るということです。

 

某有名芸能人の留守中に、そのマンションの管理人(コンシェルジュ)が部屋に忍び込んだという衝撃的な事件も記憶に新しいところですが、一体誰なら信じられるのか正直分からなくなっているようなご時世なのです。

 

こうした事情を踏まえると、「マンション内での挨拶禁止ルール化」の事例をただちに都市部でのコミュニティ崩壊の現れと捉えるのはいささか早計だったのではないかと思います。

挨拶の効用は認めるとしても、子どもの安全という側面から考えた場合にはそれが裏目に出てしまうリスクもある以上、大人側に一定の配慮が必要かもしれません。

 

本テーマに関心のある方は、SUUMOジャーナルの記事もご覧ください。

suumo.jp

 


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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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