【理事長のギモン】コロナ感染防止対策で、マンション管理組合の運営はどうすればいいの?

6月6日付けのダイヤモンド・オンラインに、「コロナで問題噴出!マンション管理組合に求められる新しい形とは?」と題した記事が掲載されていました。

 

diamond.jp

本記事の要約は以下の通りです。

 ■ 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、マンションの管理組合にも思わぬ影響が管理組合と業務委託先の管理会社の双方に及んでいるため、業務が停滞してしまったマンションが少なくない。

■ その一つが、「3密」を回避するため、理事会や総会などの開催を見合わせている管理組合が多数出ていることだ。理事にとって気がかりなのが、「規定の集会や会合を開かないことが問題にならないか」という点である。

■ 区分所有法において、「管理者は、少なくとも毎年一回集会を招集しなければならない」(同法第34条2項)、「管理者は、集会において、毎年一回一定の時期に、その事務に関する報告をしなければならない」(同法第43条)と定められている。

■  しかしながら、「前年の開催から1年以内」という開催期限に関する規定はない。 法務省からも「本年中に集会を招集し、集会において必要な報告をすれば足りる」との見解が示されている。

■  「3密」を回避しつつ、理事会などを開催するひとつの方法として、ZoomやLINEなどのオンライン会議システムが注目を集めている。ビジネスシーンでは急速に導入が進んでいるオンライン会議システムを、理事会でも活用しようという動きが盛んになっている。

■  ただ、ここで問題になってくるのは、オンライン会議システムを利用した理事会の開催の可否である。国交省の標準管理規約には、「書面または電磁的方法」の利用についての規定はあるが、オンライン会議システムの利用を想定した規定はないため、その有効性が明確ではない。

■  これについて、国交省がそれを補足する形で、「理事会に出席できない理事について、インターネット技術によるテレビ会議等での理事会参加や議決権行使を認める旨を、規約において定めることも考えられる」という「コメント」を記載している。ただ、このコメントは今回の新型コロナウイルス問題が起きる前に作成されたもので、こうした事態を想定したものではない。

■  このコメントが意図するのは、オンライン会議システムを採用した理事会が成立するためには、管理規約を改正し、その旨をあらかじめ定めておく必要がある、ということだ。

■ しかし、「3密回避」を目的とした方法を採用するために、管理規約を改正すべく「3密」になる総会を開くのは本末転倒だ管理組合や理事会の運営が困難になっているこの非常事態には、もっと柔軟な解釈をしてもよいと思う。

■ 理事の全員が賛成するならば、今はオンライン会議システムを利用して理事会を開催し、のちに通常の理事会が開催された際に、念のため議題を再度上程して追認する、という形を取ればよいのではないか。

■ ただし、理事のうち1人でも反対した場合などは、慎重に進めるほうが得策だろう。

■ 最も感染の危険性が高い場所はエレベーターといわれているため、エレベーターボタンのアルコール消毒をまめに行う。さらに、マンションで感染者が出た場合の対応として、管理組合は感染者とその家族に対する差別やいじめにつながらないような配慮をするとともに、ほかの居住者に対する安全対策も講じる必要がある。

緊急事態宣言以降、管理や清掃員の出勤を停止したり、業務時間を大幅に短縮したり、フロント担当者もリモートワークになったことで、運営に支障が出ているところは少なくない。

■ 気になるのは、現段階で、管理会社からは管理業務削減の申し出はあっても、それに応じて管理委託費の減額が提示されたという話をあまり聞かないことだ。

■ 管理組合は費用感覚に疎いところが多く、管理会社は管理組合からの指摘がなければ、業務の不完全履行が明確であっても、満額で引き落としを行う場合がある。しかし、行われなかった業務分の管理委託費は返金されるべきである。

■ このように、管理組合では理事会の役割が非常に重要である。そのためには、日ごろから理事同士が密に連絡を取れるようにしておくことが大切だ。理事同士で電話番号、メールアドレスなどの情報を交換し、互いに連絡が取り合えるようにしておくことが望ましい。

 

本記事で提起されている筆者の見解には「ほぼ賛成」の立場ですが、私自身の考えを以下述べてみたいと思います。

 

1)通常総会の開催について

区分所有法の定めで、通常(定期)総会は年に1回開催することが義務付けられています。

 

管理規約では、一般的に決算月から3(もしくは2)か月以内に開催すると定められていますが、これは法定ではなくあくまで「管理組合内のルール」にすぎないため、状況に合わせて延期するなど柔軟な対応を取っても許されるものと思います。

 

とはいえ、例外的に通常総会の開催を延期する場合には、一般の組合員から問い合わせやクレームを受けないよう、理事会で事前に決議したうえで議事録にその旨を記載し、その議事録を組合内で共有するよう広報しておくべきです。

 

ただ、総会の開催時期をずらすと、現在の役員の任期も延長されてしまうという「不都合」も別途生じることになります。

 

コロナ流行以前でも、もともと総会に出席する割合は「平均3割」と言われており、大半の組合員は出席していないのが実情です。

 

それを踏まえると、例年通りのスケジュールで総会を開催しつつも、現下の情勢に鑑みて出席するのは極力新旧役員にとどめ、なるべく委任状や議決権行使書の提出をお願いすればよいでしょう。

 

併せて、各議案に対する質問や意見があれば書面で事前に受け付け、後で作成する議事録にその回答も記載する対応をすれば十分ではないかと思います。

 

ただし、多額な支出を要する議案や、賛否が分かれる可能性が高い議案などは時間が許す限りではあえて上程を避けることが望ましいと思います。

 

なお、総会と同じ日に行われるのが慣例となっている管理委託契約更新に伴う重要事項説明会(重説)について、国交省は、Web会議システムなどITを活用した方法で実施した場合も、適正化法上の重説として認める取り扱いを発信しています。

 

www.kankyo-station.co.jp

 

2)理事会の開催について

通常総会の開催が「法的な義務」であるのに対し、理事会の設置や開催については、あくまで管理組合の規約によって(総会の開催方法に準じて)ルール化されているものです。

 

もちろん集会形式で定期的に開催するのが望ましいのですが、集会室のないマンションでは、公民館などを利用しているケースも少なくありません。

 

その公民館も、自治体によっては使用禁止としたり、利用時間を制限するなどの措置を取っているケースが見られます。

 

それを理由に理事会の開催を見送る例も当然出ていますが、これを機に、私は顧問先の組合にZoomなどのWeb会議ツールの利用を勧めています。

 

特に高齢の方はネットやITリテラシーに詳しくないので、尻込みされることも多いですが、「習うより慣れろ」の精神でスタートしてみると、意外にできるものです。

 

特にZoomについては、画像や音質も良好なうえ、管理会社の作成した資料をパソコンの画面で全員が共有できるのでペーパーレスも実現することが可能です。

 

その意味では物理的に集会形式で開催するのと比べても、ほとんど遜色がありません。

 

Wi-Fiやスマートフォンの普及率を考えれば、Web会議ツールも集会に代わる立派な代替手段となりうるものと考えます。

 

したがって、今後の管理組合の円滑な運営のために、以下の対応を取ることを提案します。

(1)当面は新型コロナウィルス感染予防対策のための「やむを得ない措置」として、次善の策としてWeb会議ツールを利用のうえ理事会を開催することを組合内で広報し、周知しておく。

 

(2)次回の通常総会では、「理事会の開催方法について、役員全員の承認があれば、Web会議ツールの利用も認める」旨、管理規約を改正することを議案に上程する。

 

3)業務縮減または未実施に伴う管理委託費の返金について

記事にも紹介されている通り、管理員の勤務時間の縮減や、(専有住宅への立ち入りを要する)設備点検の延期や中止などが発生していることが多いですね。

 

消防設備点検や雑排水管洗浄などについては、中止となった場合は、返金の対象になるはずです。

 

また、管理員の勤務時間の縮減や中止があった場合には、時間当たりの費用で積算されているので、当然減らされた時間分の返金をお願いしてもおかしくはありません。

 

管理会社によっては、自主的に管理組合に説明のうえ、後日精算を提案する誠実な会社もあります。

 

一方で、ダンマリを決め込んでいるズルい会社もあります。

 

定額費用で毎月精算している組合が多いため、理事会役員でもつい見逃してしまいがちですが、中止や縮減となった業務に関する費用の精算方法については管理会社に問い合わせましょう。

 

<参考記事>

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

 

yonaoshi-honpo.hatenablog.com

 

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村上 智史

村上 智史

株式会社マンション管理見直し本舗代表取締役・All About マンション管理士ガイド。早稲田大学卒業後、三井不動産に入社。土地オーナーとの共同事業、ビル賃貸事業、Jリート(不動産投資信託)の立ち上げに従事した後2013年3月退職。2013年5月 『あなたの資産を守る!マンション管理見直しの極意』(自由国民社刊)を上梓。無関心な住人の多いマンション管理組合が潜在的に抱えるリスクを解消し、長期にわたって資産価値を維持できるソリューションを提供することで、「豊かなマンションライフ」の実現を目指しています。

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