マンション修繕積立金の増額幅を大幅に圧縮できたワケ
2025/01/06
先日、都内の某ワンルームマンション(築8年目・47戸)にて臨時総会を開催し、管理会社のリプレイスの議案が承認されました。
現管理会社の管理委託費が割高な水準にあり、現状比2割程度の削減が可能と考えたたため、更新後の管理委託費について減額の要望書を提出しました。
しかしながら、管理会社からは口頭ベースで「減額には応じられない」とのゼロ回答でした。
そのため、やむなくリプレイス(管理会社の変更)を視野に入れ、同業他社2社から相見積もりを取得しました。
さらに、リプレイス候補として挙がった会社からは、日常では管理人不在の物件特性を踏まえ、月1回の共用部全体の目視確認や、年1回建築設備点検を実施のうえ書面で詳細を報告する、という追加仕様の提案もしてもらいました。
その追加仕様も含め、現状比で25%も管理委託費が下がることになりました。
そのため、将来修繕積立金の増額改定を強いられる可能性の高い区分所有者にとっては大きなベネフィットがあると考え、リプレイスの議案を総会に上程することになりました。
ところで、このマンションは理事会が設置されておらず、「管理者」方式を採用しています。
その管理者を務めているのが、マンション管理士の私です。
ただ、私は区分所有者ではないので「第三者管理」というわけです。
つまり、リプレイス検討のための準備は見積もりの取得から総会議案書の作成まですべて私自身の手で行なったわけです。
加えて、今回は現管理会社の協力が得られなかったため、総会の委任状等の提出の督促も管理者である私がやりました。
最も大変だったのが、一度も会ったことのない区分所有者に電話して書面の提出を要請することでした。
と言うのも、
総会開催10日前の時点で47名中19名の提出にとどまっており、開催要件である「全組合員の半数以上」を満たしていなかったからです。
そのため、先日の連休中に30名近い未提出者に電話かけまくりです・・・(汗)
もともと九州のデベロッパーが販売したマンションのため首都圏に在住するオーナーは全体の2割程度に過ぎず、残りは九州や関西、東海エリアに散在しています。
そのため、電話で繋がった際の第一声は、
「東京の〇〇というマンションの管理者を務めているマンション管理士の村上と申します。先日お送りした総会の議案書はお手元に届いておりますか?」
です。
質問に対する返答は、概ね以下の3種類に分類できます。
(1)届いているが、議案書は読んでいない。
→ 未提出者全体の約5割
(2)議案書は読んだが、委任状等は出していない。
→ 未提出者全体の約4割
(3)送付先に住んでいないため、総会の開催予定自体知らなかった。
→ 未提出者全体の約1割
ただ、今回の議案が
・管理会社を変更する重要な議案であること
・管理委託費が25%下がるので、剰余金が増えるというベネフィットがあること
をかいつまんで説明したところ、委任状(もしくは議決権行使書)を提出すると約束してくれる方がほとんどでした。
中には、個人アドレスを教えてもらったうえで議案書をメールで送付し、委任状等もメール添付で返信してもらった方もいました。
その結果、最終的に38戸分回収することができ、回収率は80%を超えました。
しかも議決権行使書は全員賛成だったので、「棄権」を除いて全会一致です。
このマンションの所有者特性や在住地域を考えると、議案書の送付をメール添付も選択できるようにするとか、総会の参加方法としてリモートでも可能にするなどの工夫が必要ではないかと思いました。
今回決まった新たな管理会社と相談し、管理規約の改正も視野にいれて今後の運営方法を見直したいと考えています。
<参考記事>
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